シトロエンDS5 ブルーHDi 180
公開 : 2014.03.19 22:40 更新 : 2021.03.05 21:44
■どんなクルマ?
シトロエンDS5は、そのDSシリーズのフラッグシップであり、標準的なファミリーカーであるCシリーズよりもダイナミックで面白いチョイスであると宣伝されているモデルである。
DS5は2011年の上海モーターショーでデビューした。その当時、劇的なスタイリングに誰もが唸ったものだ。
しかし、そのスマートな外観とは別に、われわれのテストでは1955年に登場したオリジナルのDSのような傑作なエンジニアリングは感じられなかった。率直な感想としては、”期待はずれ” ということになる。英国の路上でも、常にソワソワとした足まわりを披露してしまった。
その批判をシトロエンは率直に受け止めたようだ。そこで、フランスのこの会社は新しいディーゼル・エンジンと共に、大幅にリフレッシュしたサスペンションをDSに与えた。また、ドイツのライバルと同じぐらい扱いの楽な6速オートマティック・ギアボックスも組み合わせてきたのだ。
■どんな感じ?
その新しいサスペンション・セッティングを語る前に、新しいエンジンについて触れておこう。シトロエンは、この2.0ℓのディーゼル・エンジンについて、従来のよりも20ps多いパワーを与え、更に燃費とCO2排出量を改善してきた。パフォーマンスは0-100km/h加速9.5秒、最高速度220km/hを確保しながらも、燃費は22.2km/ℓにアップしている。また、CO2排出量は118g/km、17インチ・ホイール・モデルであれば114g/kmとなる。NOxエミッションが90%向上し、CO2排出量を4%向上させた大きな理由は尿素インジェクションと独特なエグゾーストの形状による。
パリの郊外でDS5を走らせたが、なかなか速いという印象を受けた。低回転から充分なトルクが発せられ、6速オートマティック・トランスミッションとの組み合わせも良い。ミッションのレシオは非常に適切だ。
残念ながらハイ・パフォーマンス・モデルとは呼ぶことはできないが、それでもフレシキブルで効率的なパフォーマンスを見せてくれた。DS5には、これで充分かもしれない。
一方、PSAはそのサスペンションをリファインすることができたのだろうか。確かに、以前のモデルよりも遥かに改善された乗り心地ではあった。しかし、奇跡的と呼べるほどの改善はされていないのも事実だ。まだ、パリの玉砂利の上を滑らかに走ることはできないし、裏路地では凹凸をキャビンに伝えてしまうことも多々あった。まだまだドイツのプレミアム・モデルの域にまでは達していないというのが正直な感想だ。
■「買い」か?
確かにサスペンションのリファインは、いままでのDS5の悪評を覆すものだが、決定的に改善されたというわけではない。しかし、われわれがDS5を選ぶ理由はもっと他のところにある。DS5は、所有することに喜びを感じるニッチ・モデルなのだ。
新しいエンジンについては、充分に合格点が与えられるパフォーマンスを持っていた。これはシトロエンにとってはグッド・ニュースであろう。
(ゲイリー・ロード)
シトロエンDS5 ブルーHDi 180
価格 | £26,590(447万円) |
最高速度 | 220km/h |
0-100km/h加速 | 9.2秒 |
燃費 | 22.2km/ℓ |
CO2排出量 | 118g/km |
乾燥重量 | 1615kg |
エンジン | 直列4気筒1997ccターボ・ディーゼル |
最高出力 | 180ps/3750rpm |
最大トルク | 40.8kg-m/2000rpm |
ギアボックス | 6速オートマティック |