【優れたシティカーだけど】ホンダe アドバンス(最終回) 長期テスト 航続距離が左右する

公開 : 2021.07.31 09:45

眺めても座っても、運転しても、望み通り

インテリアも見事。ブラボー。明るいカラーのファブリックと大きな窓、センタートンネルのないレイアウトが効果的。車内空間は実際広く、開放感たっぷり。空間効率がとても良いと思う。

リアシートを持ち上げれば、広い荷室も得られる。大人2名の週末旅行の荷物なら、問題ないだろう。

ホンダe アドバンス(英国仕様)
ホンダe アドバンス(英国仕様)

筆者は、リアシートをフラットに畳んで乗っていた。大きなグレイハウンドを近所の公園まで連れて行くのに、丁度いい空間を確保できる。2人乗りの、ミニバンのようだった。

加速は鋭く、強さの調整ができる回生ブレーキは、停止までまかなえるワンペダル・ドライブも可能。でも、100km/hを超えた辺りから加速は鈍くなる。この特性は多くの純EVに共通するものだが、ホンダeはそれだけではない。

強く筆者が印象付けられたのが、リアモーター・リアドライブのレイアウトが生む、小回りの良さ。普段なら切り返さなければ向きを変えられない場所でも、するりとUターンできる。ファンタスティック。

ホンダeは、眺めても、座っても、運転しても、筆者の望み通りの純EVだといえる。しかし、現代的な優れたシティカーとして評価するには、いくつかの条件を飲まなければならない。

それは、自宅からさほど離れていない距離圏で生活し、自宅で充電でき、長めの移動に使える2台目のクルマがあれば、ということ。それなら、航続距離も問題なくなる。

航続距離の問題を抱える優れたシティカー

35.5kWhのバッテリーが与えてくれる航続距離は、良くて201km。夏が近づいてきたが、正直この数字は達成が難しい。寒い日に窓のデフロスターをオンにし、車内のヒーターを使うと、航続距離は半分にまで減ってしまう。

恐らくセカンドカーとして乗り、自宅で充電できるなら、201kmでも困ることはないだろう。しかし、冬場に走れる実際の距離は105kmくらい。ホンダeの購入前に、考慮するべき数字だ。

ホンダe アドバンス(英国仕様)
ホンダe アドバンス(英国仕様)

実際のところ、航続距離の短さにも関わらず、ホンダeは筆者が必要としたすべての走行に対応できたことには驚いた。バッテリー切れの不安を抱くこともなかった。

しかし利用条件によっては、冬場の航続距離がホンダeの訴求力を大幅に損なうことにもなり得る。最終的な評価にも、重大な警告を付けざるを得ない。

純EVのシティカーとして、ホンダeは素晴らしい。航続距離という潜在的な問題を抱えていて、反対の人を賛成に引き込むには、限度があるというだけだ。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事