【次期日産エクストレイルにも搭載?】革新もたらすエンジン「VCターボ」試す eパワーとの相乗効果期待

公開 : 2021.07.16 05:45  更新 : 2021.10.09 23:18

2Lモデルにいざ試乗 3.5L V6の代わりをこなす

まずは元祖VCターボのKR20DDETを搭載したQX55とアルティマに試乗。北米仕様の市販モデルである。

エンジンは同型式だが、パワースペックが異なり、車重の重いQX55は最高出力、および最大トルクともに上回り、最大トルク発生回転数も広い。なお、ミッションにはCVTを採用する。

日産アルティマ
日産アルティマ

巡航からの緩加速や微妙な速度コントロールのしやすさなどをは幅広い領域で発揮するドライバビリティ、6000rpmに記されたレブリミットまで綺麗に回し切る高回転特性など共通した特徴も多いのだが、QX55は発進時や加速時の瞬発力が、アルティマは回転上昇にあわせて滑らかにトルクが盛り上がる伸びが印象的。

カテゴリーやキャラクターに応じた特性に仕立てやすいのもVCターボの特徴なのだろう。

また、両車ともに全負荷加速で排気音がほどよく目立ち、なかなか昂揚感のあるエンジンフィールを示した。

VCターボ車が高性能志向の付加価値仕様として展開されていることがドライブフィールからも伝わってくる。ちなみに2LのVCターボの位置付けは3.5LのV6代替。

スペックも運転感覚もハイテク&ハイパフォーマンスでプレミアムを実感させるには十分である。

次期エクストレイル用? 1.5Lモデルを体感

これが次期エクストレイル! ではない。

ニアリイコールと言えなくもないが、北米と中国向けに開発されたローグである。

次期エクストレイルともうわさされる日産ローグ
次期エクストレイルともうわさされる日産ローグ

プロトタイプあるいはテストベッドと捉えるか微妙だが、この試乗車に搭載されたエンジンこそ次期エクストレイルへの展開が期待される1.5L 3気筒のVCターボだ。

詳細不明だが、凝りまくりの内部構造を考えればボア×ストローク一緒でKR20DDETを1気筒減したエンジンと考えるのが妥当か。

しかし、最大20%にまで高められ制御精度の向上したEGRなどの改良が加えられ第2世代VCターボと呼ぶに相応なエンジンに仕上がっている。

その走りだが、スムーズさと静かさがことさら印象的だった。

3気筒のパルス感をほとんど意識することなく、重量のある高精度な回転体のような味わいがある。

踏み込み時のトルク立ち上げも素早く連続的であり、部分的ながら電動モーターを思わせるようなドライブフィールである。

全開加速時は滑らかに高回転まで達するだけでなく、荒ぶるような騒音や振動は一切ない。巡航時と加速時の騒音の差が少ない。

回しても昂揚感が希薄ともいえるのだが、涼しい顔してパワフルとでも表現すべきパワーフィールは実際の動力性能以上にゆとりを感じさせてくれた。

記事に関わった人々

  • 川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事