新型トヨタGR86とスバルBRZ 味付けどう違う? 試乗で比較

公開 : 2021.07.17 12:00  更新 : 2021.10.27 21:50

従来型86/BRZの泣き所 大幅改善

直噴とポート噴射を併用するD-4Sなどエンジンの基本構造は従来型を踏襲しているが、排気量を2.4Lに拡大するにあたりボアを8.0mm拡大。ストロークは従来型と同じ86.0mmであり、NAのスポーツエンジンらしいオーバースクエアのボア×ストロークとなった。

ちなみに設計面でのレブリミットは7450rpmに設定されている。

新型トヨタGR86とスバルBRZが搭載する2.4Lフラット4。従来型の泣き所だった低中回転域トルクの大幅改善が印象的と筆者。
新型トヨタGR86とスバルBRZが搭載する2.4Lフラット4。従来型の泣き所だった低中回転域トルクの大幅改善が印象的と筆者。    前田惠介

GR86とBRZではアクセルの開度特性が異なり、前者は浅いストロークでトルク増を大きく、後者はペダルストロークにリニアな特性としている。

どちらを好むかはドライバー次第だが、深い踏み込み領域でコントロールするスポーツドライビングでは大した違いにはならない。

それよりも従来型の泣き所だった低中回転域トルクの大幅改善のほうが遙かに印象深い。

従来型はレブリミットから逆算したシフトワークが必須。許容回転数まで使って速い、ではなく回し切らないと遅いというタイプ。ライトウェイトスポーツの妙味ではあるが、ドライビングの自由度を制限する。

しかし、新型は違っている。4000rpmも回っていれば2.4Lらしいトルクを発生。レブリミットに神経質にならなくてもトラクションを活かした姿勢制御や心地よい加速が楽しめる。

動力性能の改善は日常走行やツーリング用途での扱いでも効果大だが、コーナリングのアレンジ能力も向上にも役立ち、新型の走りのポテンシャルを総合的に高めている。

新型GR86/BRZ 乗るとどう違う

FR車のスポーツドライビングの醍醐味はドリフト。些か短絡的な気もするが、それを頭ごなしに否定する気にもなれない。そんなところにGR86とBRZのハンドリングがある。

従来型のハンドリングの泣き所は後輪スリップアングル増大時のトラクション抜け。ならばトラクションを稼ごうとすると今度は前輪が抜ける。振り回すのは容易だが、4輪のグリップバランスを効率良く保つのがとても難しい。

GR86は従来型の特性を残しながら改良したタイプ。オーバーステアに持ち込むのが容易で、感覚的には深めの舵角を与えるだけ。
GR86は従来型の特性を残しながら改良したタイプ。オーバーステアに持ち込むのが容易で、感覚的には深めの舵角を与えるだけ。    前田惠介

そこが新型の改善要点の1つであり、GR86とBRZの志向の違いでもある。

GR86は従来型の特性を残しながら改良したタイプ。オーバーステアに持ち込むのが容易で、感覚的には深めの舵角を与えるだけ。

路面状態がセミウェットだったこともあるが、深スリップアングルのトラクション抜けは多少の改善くらい。振り回すように扱ってカウンターステアを楽しむには程よい特性である。

これに対してBRZはトラクションを活かしてスリップアングルや姿勢変化少ないラインコントロール性重視。

グリップバランスの変化もGR86より少なく、トラクションで弱アンダーステア気味に4輪を滑らせるようなコーナリングも可能。

スイートスポットは狭いものの、従来型からのシャシーのポテンシャルアップが実感できる。

操る手応えに重きを置くGR86、速さと効率のいいスポーツ性能に重きを置くBRZ。どちらをよしとするかはドライビングスタイル次第だ。

記事に関わった人々

  • 前田惠介

    Keisuke Maeda

    1962年生まれ。はじめて買ったクルマは、ジムニーSJ30F。自動車メーカーのカタログを撮影する会社に5年間勤務。スタジオ撮影のノウハウを会得後独立。自動車関連の撮影のほか、現在、湘南で地元密着型の写真館を営業中。今の愛車はスズキ・ジムニー(JB23)
  • 川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。

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