ジープ、電動化へ大転換 誰がどんな影響うける 80周年で

公開 : 2021.07.16 10:05  更新 : 2021.10.09 22:24

ジープのクリスチャン・ムニエCEOが電動化の具体的展望を発表。製品がどう変わるか。イメージが明らかに。

ジープ、電動化へ大きく舵を切る

editor:Taro Ueno(上野太朗)

ジープ・レネゲードPHEVモデルの名称として使用され、日本でもその知名度を拡大しつつある「4xe」(フォー・バイ・イー)

電動化を示すこのキャッチコピーが、ジープ・ブランドの将来に向け、一気にクローズアップされることになるようだ。

PHEVであるジープ・ラングラー4xeのパワートレイン。
PHEVであるジープ・ラングラー4xeのパワートレイン。    ジープ

ジープやクライスラーフィアットを擁するFCAとプジョーシトロエンが主体となったPSA等が経営統合することで今年1月に誕生したステランティス。

同社は7月8日にオンラインで「EV DAY2021」と題した発表をおこない、グループ全体で電動化へ大きく舵を切ることを発表した。

ステランティスのカルロス・タバレスCEOによれば、傘下に14ものブランドを抱える同社は、電動化やソフトウェアの開発に対し2025年までの5年間に3兆9000億円もの投資をおこなう。

ステランティスはLEV(ロー・エミッション・ビークル=PHEVとBEV等)のマーケットリーダーを目指していくという。

この発表を受け7月14日、ステランティスの主力の1つであるジープ・ブランドのクリスチャン・ムニエCEOも、電動化の具体的な展望を発表している。

インド・アジア太平洋地域に向けに、ジープ・ブランドの80周年を記念したラウンドテーブルをオンラインで開催したのだ。

発表の中でムニエCEOは自らをカーガイと自負し、既存のICE搭載のジープを愛する人間だとしつつ、それでも自動車世界を巡る昨今の急激な変化、ゼロエミッション化は避けられないと認めている。

ムニエCEOをはじめとするジープのコア・メンバーは、電動化によって生まれるジープならではの世界観や、既存のスタイルにとらわれない自由度についても言及している。

プラットフォーム4種 パワートレイン3種

現状の日本ではレネゲード4xeがジープ唯一の電動化モデルとなっているが、ヨーロッパ市場においてラングラーとコンパスの4xeモデルも既に導入され人気を集めている。

この流れはインド・アジア太平洋地域にも影響を与えるはずであり、2025年までに全てのセグメントのジープに「4xe」モデルが導入。

2030年7月のイメージ(ジープ)では、オートノマス(自動化運転)によって自走するラングラーの姿も。
2030年7月のイメージ(ジープ)では、オートノマス(自動化運転)によって自走するラングラーの姿も。    ジープ

全世界で販売される70%(地域差はあるが平均した数値)ものジープが電動化されることになる。

ここ10年ほどのジープ・ブランドの世界的な成長は目を見張るものがある。

2009年には30万台だった販売台数が、ここ7年はコンスタントに100万台を達成しているのだ。

この市場規模の70%があと5年以内に電動化モデルに置き換わるのだから、これは大きな変化といえる。

これらジープの電動化、4xeの動きを支えるのは、既存のモデルをPHEV化したモデルと、先にステランティスが発表した4種類のBEV専用の全く新しいプラットフォーム、そして3種類の電動パワートレインだ。

またステランティスは急速な電動化へのシフトで供給不足の恐れがあるバッテリーに関しても、ヨーロッパと北米に5つのバッテリー工場を新設。

さらに既存のバッテリーメーカーとの合弁会社も立ち上げることで2030年までに260GWhものバッテリーを確保できる見通しが立っている。

現在のバッテリーは液体の封入したリチウムイオンが主流だが、ステランティスは2026年には次世代バッテリーと言われるソリッドステートバッテリー(全固体電池)の導入も宣言しているのである。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。

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