新型トヨタGR86/スバルBRZ 本当にクルマ好きが楽しめる? 試乗

公開 : 2021.07.17 12:15  更新 : 2021.10.27 21:52

理想と現実? 迷ったときのお薦めは

最後に試乗したGR86のMTは思った通り、最も走り応えがあった。

スロットルの早開きのおかげでエンジンにメリハリがあり、一方アシはフロントはグリップ感たっぷり、リアはBRZよりしっかり感が強く、グリップの情報量が多い。だから低速コーナーでは自信をもって振り回せるし、中速コーナーでゼロカウンターを意図して保つことができた。

「もしどちらか迷ったらトヨタGR86の方がお薦め」(筆者)
「もしどちらか迷ったらトヨタGR86の方がお薦め」(筆者)    前田惠介

こういったサーキットにおける一見「荒っぽい」インプレッションは公道の走りの参考にならないと思われるかもしれないが、そうではないと思う。

知らず知らずのうちにドライバーにきめ細かく情報を伝えてくれるクルマは、ワインディングでも自信をもって操れるし、曖昧なクルマとの腹の探り合いもないので「操った!」という爽快感がある。

今回の両者のイメージをAUTOCAR的に輸入車に例えると、新造のアルミ製ハブキャリアやスタビのボディ直付でリニアリティを追求したBRZはポルシェケイマン的理想主義。

一方敢えて鋳鉄ハブキャリアを継続し、土壇場になってスタビ取付位置を変更したGR86はアルピーヌA110的現実主義だと感じた。

上質なセッティングとスタビリティの妙を堪能したいドライバーにはBRZが正解。一方、リアがブレークする手前からその予兆を伝え、滑り出してからも穏やかに推移するGR86は「自分で操れる領域の広さ」を重視する人向けといえる。

もしどちらか迷ったらGR86の方がお薦めだ。気さくに対話ができる分だけ長く楽しめると思う。

記事に関わった人々

  • 前田惠介

    Keisuke Maeda

    1962年生まれ。はじめて買ったクルマは、ジムニーSJ30F。自動車メーカーのカタログを撮影する会社に5年間勤務。スタジオ撮影のノウハウを会得後独立。自動車関連の撮影のほか、現在、湘南で地元密着型の写真館を営業中。今の愛車はスズキ・ジムニー(JB23)
  • 吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。

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