【刷新】新型トヨタ・アクア 身内で共食い? 問われる販売力
公開 : 2021.07.20 05:45
キープコンセプト サイズもあまり変わらず
車内での静粛性が上がっている。
乗車時と停車中では、先代比で1dB改善と微細な変化にみえるが、単なる音の大きさの低減だけではなく、新型プラットフォームとボディ全体からの音の伝わり方が大きくカイゼンしているはずだ。
また、高速走行時の会話明瞭度という指標では、先代比で15%向上と記されている。こうした音と振動のカイゼンについて、実車での確認が待ち遠しい。
別の視点でアクアを見てみると、いわゆるキープコンセプトを徹底している点に注目したい。
なにせ、ボディスタイリングの印象が、まさにキープコンセプト。
ボディ寸法では、全長4050mmと全幅1695mmと先代と変わらず、全高が30mm増の1485mm、そしてホイールベースが50mm増の2600mm。
つまり、先代オーナーがこれまでとまったく同じ駐車スペースを使えて、さらに室内空間が広がったという、至れり尽くせり。
そして、先代オーナーのみならず、筆者のようにアクアをカーシェアで利活用する人にとっても、インテリアが上質で落着きがあり、また近年トヨタ車らしい大型センターディスプレイや大きくなって視認性があがった三角窓など、キープコンセプトの良い点を強調している。
こうした配慮は、これまでアクアを大切してきたユーザーへの心配りである。
身内同士で競合 問われるトヨタの販売力
そのほか、トヨタのコンパクトクラスで初採用となった、停車時の斜め後方視界をサポートするブラインドスポットモニターは普段の生活の中で実用性は高い。
またアドバンスドパークではパーキングサポートブレーキをトヨタとして初採用するなど、アクアに対するトヨタの期待は高い。
そのうえで、やはり気になるのは、トヨタの他モデルとのカニバリ(カニバリゼーション:共食い)だ。
そもそも、アクアという商品は、トヨタにとってプリウスに次ぐ、ハイブリッド専用車種であり、「プリウスはいいが、ウチにはちょっと大きい」といった市場を声を考慮したサイズ感を実現した。
そのため、基本的にはプリウスとのカニバリは起きないはずだが、プリウスのモデルライフが長くなった今、室内空間が広がり、乗り味もインテリアも上質になったアクアへプリウスからの乗り換えが加速し、結果的に次期プリウス需要を先食いしてしまう可能性も否定できない。
さらに気になるのは、販売好調のヤリスとのカニバリだ。
この点については、アクアとヤリスの商品性を、販売現場でユーザーにいかに伝え、ユーザーの要望にどのように対応するかによって結果は大きく変わるだろう。
販売力に定評があるトヨタの真価が問われることになる。