【1.5Lから260psを獲得】フォード・プーマST マウンチューンM260へ試乗 選ぶ価値アリ
公開 : 2021.07.28 08:25
明確なワンダリングとトルクステア
お好みなら、アクセルペダルを踏み込んだまま素早く変速できる、フラットシフト機能も追加できる。マウンチューン社がASMO(反社会的マウンチューン・オーバーラン)と呼ぶ、アフターファイヤーを一層楽しめるマップも選べるそうだ。
若いドライバーなら特に、興味をそそられるはず。リアで放たれる破裂音の魅力は、筆者も理解できなくはない。
試乗車には、フォードのパフォーマンス・パッケージが装備されていた。トラクションを強化する、リミテッドスリップ・デフが組まれる。
フロントタイヤへ掛かるトルクが増えるが、波打った路面ではステアリングが取られやすくなるようだ。アクセルペダルの操作次第では、トルクステアも生じてしまう。厄介なほどではないものの、荒れた路面では多少の気遣いも必要になる。
それ以外は、標準のプーマSTに準じる。運転が楽しいものの、気になる部分があることも同じ。
ステアリングはクイックで、反応は正確。ミシュラン・カップ2が温まるほど、ターンイン時のグリップ力も高まっていく。それでいて、コーナリング中にラインを調整していけるだけの、懐の深さも備わっている。
座面の位置が高く、運転席からの眺めは良い。しかし、クルマの中に腰掛けるというより、シートの上に乗っているような印象がなくもない。フィエスタST並みにコミュニケーション力に優れるわけでもない。クルマはより高く重い。
プーマSTの弱点をカバーしてくれる
技術者によれば、俊敏性を高め、車高が低くなるサスペンション・キットも追加予定だという。それでも、標準のプーマSTのシャシーは、260psを充分に受け止められているように感じた。過激なトルクステアは別として。
低速域でのシャープな乗り心地が改善されるなら、歓迎したい。それでも、速度域が上がり硬めのスプリングとタンパーへの負荷が高まるほどに、標準のサスでも質感は良くなる。アグレッシブなクロスオーバーのボディを、感心するほど良く制御してくれる。
フォード・プーマSTに関心を寄せているなら、マウンチューン社のM260キットへの投資もオススメしたい。追加のパワーとトルクは、プーマSTの弱点をカバーしてくれる。
フィエスタSTより重いボディが鈍らせていた、シャープなエンジンの質感を取り戻せる。プーマSTを、シリアスに速いクロスオーバーへ生まれ変わらせてくれる。
運転の楽しさでは、より手頃なフィエスタSTの方が上。実用性の面では、同等の価格のフォーカスSTの方が上。フォード・プーマSTの立ち位置は、少し微妙かもしれない。
それでも、マウンチューン社のチューニングよって、プーマSTの魅力が高められていることは間違いないだろう。
フォード・プーマST パフォーマンス・パッケージ・マウンチューンM260 (英国仕様)のスペック
英国価格:2万9460ポンド(453万円)/1620ポンド(チューニングキット/25万円)
全長:4207mm
全幅:1805mm
全高:1537mm
最高速度:233km/h(予想)
0-100km/h加速:6.0秒
燃費:−
CO2排出量:−
車両重量:1283kg
パワートレイン:直列3気筒1497ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:260ps/5550rpm
最大トルク:37.1kg-m/3250rpm
ギアボックス:6速マニュアル