【接触はアクシデント】F1イギリスGP 新形式のレースでクラッシュ ファンは賛否両論
公開 : 2021.07.20 06:25
決勝でハミルトンと接触したフェルスタッペンが壁に衝突するなど、物議を醸したイギリスGPを振り返ります。
初採用のレース形式で事故発生
金曜日から土曜日にかけて、イギリスGPの話題の中心となったのは、土曜日に開催される新たな予選レース(F1スプリント)をどのように呼ぶべきか、また、ポールポジションを獲得するのはこの日の勝者なのか、それとも金曜日の通常予選での勝者なのか、ということだった。
そしてもちろん、決勝レースの1周目にトップ争いをしていたマックス・フェルスタッペンとルイス・ハミルトンが接触し、フェルスタッペンが恐ろしいほどの高速クラッシュを喫したことで、舌戦が急速に拡大していった。
ここでは、物議を醸したシルバーストン・サーキットでの出来事をご紹介する。
緊張感を高めた衝突事故
レッドブル・ホンダのフェルスタッペンと、メルセデスAMGのハミルトンは、シーズン中ずっとバトルを繰り広げてきた。お互いに妥協を許さないレーサーであることから、コース上での衝突につながる可能性は常に存在した。
予選レース(失礼、F1スプリント)で勝利したフェルスタッペンは、決勝レースをポールポジションからスタートしたが、ハミルトンがオープニングラップの前半でフェルスタッペンを激しくプッシュした。フェルスタッペンは何度かハミルトンの追撃をかわしたが、ハミルトンは超高速コーナーであるコプスでイン側のラインを取った。
その結果、フェルスタッペンのマシンは高速でコースを外れ、バリアに激突した。フェルスタッペンは病院に運ばれたが、幸いにも怪我はなかった。一方のハミルトンは、フェラーリのシャルル・ルクレールに遅れを取ったが、彼のマシンが受けたダメージは、赤旗中断中にチームが修復した。この衝突により、ハミルトンには10秒のタイムペナルティが科せられた。
イギリスGPで発生した今回のクラッシュについては、おそらく誰もが自身の見解を持っていると思うし、発生時の映像については、ザプルーダー・フィルムと同じくらい多くの分析がネット上に存在している。もちろん、議論を繰り広げるのは自由だ。
確かに、ハミルトンはオーバーテイクが極めて困難なコーナーで大胆な動きを試みた。しかし、あの特異なコーナーで起きたことについては、半周にわたってフェルスタッペンが積極的に防御したことから切り離すこともできない。
筆者の考えでは、これこそがレーシング・インシデント(アクシデント)の典型だと思う。2人のドライバーが、限界まで攻めながらも譲らない。残念ながら、片方のドライバーがその影響を受けてしまったが、フェルスタッペンが無事であったことが何よりのニュースだ。
レッドブルのチーム代表であるクリスチャン・ホーナーとチーフ・アドバイザーのヘルムート・マルコが、クラッシュ後に扇動的な言葉を発したことは、助けにはならなかった。
ドライバーが入院し、マシンが大破していることを考えると、彼らの怒りも理解できるが、ハミルトンはコプスでオーバーテイクを試すべきではなかったという指摘は、彼をレースから追放せよという声と同様に不条理だ。
両ドライバーの支持者によるソーシャルメディアでの過激な反応も気になるところだ。ネット上では、優勝を喜ぶハミルトンの振る舞いを疑問視する声も上がっている。関係者が少しでも温度を下げる努力をしてくれることを期待したい。