【詳細データテスト】BMW M5 走りは全方位で進化 実用性の犠牲は最小限 まさに究極のM5
公開 : 2021.07.24 20:25 更新 : 2021.07.25 20:10
結論 ★★★★★★★★★★
M5 CSは、鵜の目鷹の目で鍛え上げられたみごとなドライバーズカーだ。ライバルたちがロールケージやレーシングハーネスまでも装備するような熱狂ぶりを見せるなか、BMW Mはこのセグメントらしい日常での万能性を忠実に守り続けている。
なぜなら、もしも究極のM5が、ほかのM5のバリエーションに備わる実用性を犠牲にして高みを目指そうとしたなら、それは本分を見失うことになるから。そうといってしまってもいいのではないだろうか。
このスペシャルさを高めたM5は、実用性やしつけのよさをほぼ失っていない。しかも、10万1000ポンド(約1414万円)の、英国では標準モデルとなるM5コンペティションと比べて、大幅な飛躍をみせている。それも単にパフォーマンスだけでなく、手応えのフィールや乗り心地の落ち着き、ハンドリングの上質さなど、走らせ甲斐を高めてくれるすべてにおいてだ。
残念な点があるとすれば、Mディヴィジョンにとっての究極のM5は、あくまでもM5というくくりにおける究極型であって、究極のMモデルを意味するものではないとわかったことだ。サーキットを走らせるなら、M2 CSやM3コンペティションを凌ぐことはできない、と言い換えてもいい。
しかし、最新のスーパーセダンが発揮するタイヤを削るようなパワフルさやとてつもない速さという点においては、これを超えるライバルが思いつかない。肉薄できるものさえありはしない。
担当テスターのアドバイス
マット・ソーンダース
CSは、完璧にスムースな舗装の上なら、おそらくコンペティションより10%ほどグリップレベルが高い。しかし、荒れた路面ではずっと落ち着きのあるクルマに感じられる。たぶん、熱中度は5割増しといったところで、F90型M5のターニングポイントのように思える。
リチャード・レーン
これは変化したというより、完成度が増したM5という印象だ。BMWがコアとなるヴァリューはそのままに、弱点だけを修正したのはうれしい限りだ。しかし、14万ポンド(約1960万円)以上支払うなら、もっとドラマティックなものを期待するユーザーもいるだろう。
オプション追加のアドバイス
英国仕様のスペックは、じつにシンプルな設定だ。マットなボディカラーがお気に召さなければ、選べるのはブランズハッチグレーのみ。ゴールドブロンズのエクステリアパーツには、ゴールドのブレーキキャリパーがマッチする。
改善してほしいポイント
・今後もラインナップから外さないでもらいたい。この究極のM5は、この世代随一のバリエーションになるはずだ。
・このクルマのダンパーとエキゾーストは、通常のM5やM5コンペティションにも装着してほしい。