【残念?当然?】開発が中止されたクルマ 53選 後編 愛されなかった乗り物たち
公開 : 2021.07.22 10:25
BMW M3コンパクト(1996年)
1300kgの軽量ボディに325psの3.2Lエンジンを搭載したこのモデルは、E36ベースのM3コンパクトと呼ばれるパフォーマンスカーだが、残念ながら未完に終わった。
若者向けに小型で手頃な価格のMモデルを作ろうというアイデアだったが、BMWは冷静さを失い、たった1台のプロトタイプが作られただけでお蔵入りとなった。
フォルクスワーゲンW12(1997年)
フォルクスワーゲンは、1997年にW12エンジンを搭載したミドシップ・スーパーカーを開発したが、何よりも素晴らしいのは、これが市販されることだった。最初のプロトタイプに搭載されたエンジンは5.6Lだったが、後に6.0Lのモデルとロードスターが登場した。
W12は、2002年にナルドのテストコースで数々の記録を打ち立てたが、生産計画は棚上げされてしまった。当時のフェルディナンド・ピエヒ(1937~2019)は、フォルクスワーゲンではなくブガッティから、8.0LのW16エンジンを搭載したヴェイロンを2005年に発売することを決めていたのである。
セアト・フォーミュラ(1999年)
当時発売されたばかりのロータス・エリーゼを意識してデザインされたセアト・フォーミュラは、ミドマウント・ターボ付きの2.0L 4気筒エンジン(最高出力243ps)を搭載していた。
車重は900kgで、0-100km/h加速が5秒を切るという驚異的なパフォーマンスを発揮した。フォルクスワーゲン・グループがセアトブランドのスポーツ性を高めたいと考えていたことから、当初はフォーミュラの市販化が有力視されていたが、残念ながら実現には至らず、代わりにスポーティなハッチバックに注力することになった。
ジャガーFタイプ(2000年)
言うまでもなく、2013年にはジャガーFタイプが登場したが、これはジェフ・ローソン率いるチームがデザインしたオリジナルのコンセプトだ。
1999年にローソンが急逝した後、イアン・カラムがそのバトンを受け取った。ジャガーの全盛期のスポーツカーを彷彿とさせるFタイプは、Sタイプから流用した3.0L V6を搭載した2シーターのロードスターであった。
開発は大成功を収めたが、親会社のフォードはその資金をジャガーのF1レーシングチームに投入することを決定し、結局あまり成功しなかった。
ランチア・フルビア(2003年)
ランチアは今ではすっかり姿を消してしまった。イタリアで毎年数台のクルマが販売される以外は、ブランドとしてはほぼ存在しないも同然だ。もし、クライスラーをランチアに改造するのではなく、フルビアを販売していたら、どれほど違っていただろうか。
本当に惜しいのは、フルビアは良い意味で革新的ではなかったので、簡単に生産を開始することができたということだ。メカニズムや構造は既製品の上に成り立っており、パワートレインも他のグループ車でに搭載されている1.7Lのガソリンエンジンを使用していた。
これまでの「if」の中で、最も嘆かれるのはこのモデルかもしれない。