【残念?当然?】開発が中止されたクルマ 53選 後編 愛されなかった乗り物たち
公開 : 2021.07.22 10:25
リンカーンの後輪駆動フラッグシップ(2009年)
フォードの高級車部門であるリンカーンは、2000年代後半に後輪駆動のフラッグシップモデルの開発を始めた。リンカーンが2011年に製造を中止したボディ・オン・フレームのタウンカーの後継モデルとして構想されていた。
自動車誌などでは、フォードのオーストラリア部門が開発したプラットフォームを、フォードのモデルで共有していると言われている。しかし、2009年に米国市場が急激に低燃費車にシフトしたことで、このプロジェクトは頓挫してしまった。
デザイナーのJ・メイズは、フォードが後輪駆動をサイクルプランから外したことをオートモーティブ・ニュース誌に語っている。
「わたし達は今、燃費を重視した道を進んでいます。そのためにやるべきことは山積みです。ですから、後輪駆動車については話し合っていません。非常に楽しみにしていたんですがね」
2007年に公開されたこのMKRコンセプトは、翌年の市販化が一度は決定されたが、残念ながらそれが実行されることはなかったのである。
ポンティアックG8 ST(2009年)
2009年1月、GMはポンティアックのディーラーに対し、G8 STが入荷されることはないと通告した。この乗用車ベースのピックアップトラックは、現代のシボレー・エルカミーノにパフォーマンスを盛り込んだものと謳われていた。
ポンティアックは、366psの6.0L V8の採用をすでに決定していた。G8 STは、ホールデンのオーストラリア工場で生産される予定で、経営陣は年間5000台程度の販売が可能だと予測していた。
2009年4月、GMはポンティアックブランドを廃止し、翌年末までに全モデルを段階的に廃止する計画を発表した。高名なネイティブ・アメリカンの名を戴いた老舗ブランドは84年の歴史に幕を下ろした。
アウディR8 TDiル・マン(2008年)
2008年、ディーゼルエンジンは波に乗っていた。販売も製品も好調で、その頂点に立っていたのがアウディのツインターボV12ディーゼルエンジンであり、大型SUVのQ7 TDiに搭載されていた。
しかし、アウディはSUVのマザーシップを手に入れただけでは満足せず、世界初の市販ディーゼルエンジン搭載のスーパーカーを作りたいと考えていた。それが、R8 V12 TDiコンセプトだ。
2008年のロサンゼルス・モーターショーで発表された時には市販化の話も出ていたが、最終的には経済性が合わないとアウディが判断し、このクルマは夢の中の存在で終わった。