【改善の余地はまだある】ヒュンダイi30 N パフォーマンスへ試乗 280psのFF 小変更
公開 : 2021.08.02 08:25
ゴルフGTIの競合となるホットハッチ、i30 N。改良を受けたエンジンとサス、新しいATを獲得した2021年仕様を、英国編集部が評価しました。
まだ改善の余地は残っている
韓国・ヒュンダイの高性能部門となるNパフォーマンスが仕立てたホットハッチ、i30 Nがモデル中期のフェイスリフトを受けた。施された内容は多岐に及ぶ。
4年前の登場では、われわれを驚かせるだけの到達度にあったものの、改善の余地も多く残されていた。更なる丁寧な開発が必要なことは、明らかだった。
ではフェイスリフト後の仕上がりはどうだろう。ネタバレしてしまうが、まだその余地は残っているようだ。
アップデートを受けたi30 Nは、エンジンが少しパワーアップし、トルクも太くなっている。標準は6速MTだが、試乗車にはヒュンダイが開発した8速デュアルクラッチATが載っていた。欧州仕様としては、初導入になるという。
ホイールは新デザインで、軽量な鍛造の19インチを履く。フロントのブレーキディスクも、1サイズ大径になっている。
サスペンションにも幅広く手が加えられている。コイルスプリングとアダプティブダンパーは新設計のもので、ストラット・バンプストップも変更してある。全体のジオメトリーも見直された。
インテリアでは、オプションとして軽量なバケットシートが選べるようになった。インフォテイメント用のタッチモニターはサイズが大きくなり、多彩な運転支援システムとコネクティビティ機能も標準搭載されている。
マイルドな設定が英国では丁度いい
走り出してみると、新しいi30 Nは、2017年仕様より英国の道へ適合しやすくなっている。サスペンションをソフトな状態に設定しておけば、足さばきは充分に流暢。それでいて、引き締まった姿勢制御も失っていない。
スポーツ・モードを選ぶと設定が引き締まり、振動が収まらず少しギクシャクしだす。1番アグレッシブなNモードでは、落ち着きがなくなる。おそらく英国のサーキットでも、少し硬すぎるのではないだろうか。
ステアリングは、基本的には重み付けがちょうど良く、無駄な情報はフィルタリングされている。ダンパーと同様に、自然なフィーリングを楽しみたい場合はマイルドな設定が良いだろう。
レシオは充分にクイック。しかし、最も積極的な設定では重さが増しすぎ、活発に扱いにくくなる。その重さを受け入れることができても、際立ってシャープとまでは感じられないと思う。
操舵感には一貫性が薄く、稀にまったくアシストがないと感じるほど重く感じる場面がある。反面、タイヤのグリップ状態を伝えるフィードバックが少なく、過度にアシストされているように感じる場面もある。
手のひらに伝わるフィーリングは人工的。コーナリングの機敏なバランスを楽しむのではなく、正確で安定性に優れた、高めの速度域を楽しむスタイルがi30 Nには適しているようだ。