【バッテリー工場増設】メルセデス・ベンツ 2030年までに全モデル電動化 具体的な計画は
公開 : 2021.07.23 18:25
メルセデスが電動化計画を加速。プラットフォーム開発とバッテリー工場の新設を急ぎ、EV時代に対応します。
電動化計画を加速
メルセデス・ベンツは、2030年までに「市場が許す限り」すべてのモデルを電動化する野心的な計画を明らかにした。
従来の内燃機関への投資を減らしながら、EVの製造コストを削減して、現在の利益率を維持する計画だ。具体的には、2025年までに4つの新型EVプラットフォームを導入して全モデルに採用するとともに、世界各地に8か所のEV用バッテリー工場を新設する。
この戦略では、量よりも利益を優先するというコミットメントが重要な鍵を握る。メルセデスは今後、上級モデルの販売を拡大し、部品の大部分を標準化することになる。
すべてのクラスにEVを展開
メルセデスは、先に発表した「アンビション2039」戦略の目標を改め、2022年にはあらゆるクラスでBEV(バッテリー駆動EV)を展開し、2025年には全モデルにEV仕様を導入する予定だ。
2024年に小型車用のMMA EVプラットフォームを発表する予定で、以降、メルセデスが開発するプラットフォームはすべてEV専用となる。2025年にはラインナップ全体に対応するプラットフォームを3つ発表する予定だという。
MB.EAプラットフォームはSUVなどの中・大型乗用車向けに、一方のAMG.EAプラットフォームはAMGブランドの電動スポーツカー向けに開発される。Van.EAプラットフォームは小型商用車(LCV)に使用される。
今後のラインナップとしては、既存のEQC、EQA、EQB、EQV、EQSに続き、2022年に新型EQEセダン、EQE SUV、EQS SUVを発売。合計8台の乗用EVが投入される。
また、EQSセダンには、AMGブランドのハイパフォーマンスモデルとマイバッハブランドの最高級モデルの2つの新バージョンが間もなく登場する。
製品戦略において、長距離走行可能なプラグイン・ハイブリッド車は引き続き重要な役割を担うが、「ますます多くの顧客がBEVに乗り換える」と期待されているため、メルセデスはEVへの移行を加速させていく。
投資を増やしつつ利益率維持
メルセデスのCEOであるオーラ・ケレニウスは次のように述べている。
「EVへのシフトは、特にメルセデス・ベンツが属する高級車セグメントで加速しています。転換点は近づいており、当社は今後10年以内に欧州市場がEVのみに切り替わるのに合わせて、準備を整えていきます」
「このステップは、資本の大幅な再配分を意味します。収益目標を維持しながら、この急速な変化に対応することで、メルセデス・ベンツの永続的な成功を確保します」
「高い能力と意欲を持った従業員のおかげで、このエキサイティングな新時代に成功すると確信しています」
新計画に基づき、メルセデスは新型EVの開発に400億ユーロ(5億円)以上を投じる。以前の目標は「2025年までに販売台数の25%をハイブリッド車とEVが占めるという仮定」に基づいていた。現在では、2025年までにその割合は最大50%になると予測されている。
利益率を維持するために、メルセデスはマイバッハやAMGといったハイエンドモデルの販売比率を高めたり、デジタルサービスによる収益を増やしたりすることで、「1台あたりの純利益の増加」を目指す。
また、新しいモジュール式プラットフォームをラインナップ全体に採用することで、部品の標準化を進めて製造コストを削減するとともに、バッテリーコストの大幅な低下が期待されている。
従来の内燃機関への投資は、2026年までに2019年比で80%削減するとしているが、ICE車の生産終了時期については言及していない。
メルセデスは全体として、EV移行後の利益率は、内燃機関時代とほぼ同様になると予想している。