【直感的で有機的】ノーブルM12 GTO-3へ再試乗 ミドシップの385ps 911とも比較 前編
公開 : 2021.08.05 08:25
ポルシェ911やフェラーリ360と渡り合った
順調に生産台数が増える一方で、M12にはまだ発展の可能性が残されていた。2002年、バージョンアップを受けたGTOが発表される。一般的にはM12 GTO-3として知られるモデルで、V型6気筒デュラテック・エンジンは排気量が3.0Lへ拡大されていた。
ノーブルのトレードマークでもあった、ターボが呼吸するノイズは抑えられつつ、最高出力と最大トルクは大幅に向上。動的性能は明確に引き上げられていた。
ほどなくして、GTO-3の6速MTにはクワイフ社製のトルク感知式リミテッドスリップ・デフが組まれ、GTO-3Rへと進化。M12は大ヒット作となる。
M12 GTO-3Rの内容は素晴らしく、既存のスーパーカーは価格が高すぎ、馬力も過剰に見えてしまうほど。ノーブルはマスメディアを上手に利用し、ポルシェ911やフェラーリ360などと対等に渡り合いながら、台数を伸ばしていった。
2005年、M12はM400へ進化する。最高出力は431psあったが、パワーウエイトレシオが400ps/tであることが名前の理由。運転しやすくハンドリングにも優れていた。ドライバーの能力を問わず、大きな充足感を与えてくれるスポーツカーだった。
今回、レスターシャー州のブランティングソープ試験場には、ノーブルの専門ガレージ、ジェットストリーム社が用意してくれたM12が停まっている。筆者が以前にAUTOCARへ記事を執筆した時と同じ、GTO-3だ。場所も同じ。
試乗車はECUのリマッピングで385ps
前回の印象と同じくらい、素晴らしい体験になるだろうか。ジェットストリーム社のマット・ウォルトンが話しかけてくる。誕生から18年経っているが、ほとんど当時のままだという。
ギアボックスとデフは後期型のGTO-3Rのものに交換され、ECUは穏やかにリマッピングされている。最高出力は357psから385psへ高められているという。でも、この程度らしい。久しぶりに対面する筆者だが、見た目はオリジナル状態のままのようだ。
今日ここまで乗ってきたのは、992型のポルシェ911だった。その印象を踏まえているから、ノーブルのインテリアが対照的で興味深い。小さなドアから乗り込むには、頭を低く下げて先に上半身を入れて、足を最後に押し込むのが良いようだ。
ドライバーズシートは体にピッタリフィットする。身長170cmの筆者なら、シートとペダルの位置もちょうど良く調整できる。正面にはスピードとタコメーターが2つ。その横に小さな燃料計と水温計がある。
もう1つ、センターコンソールにターボブースト計も付いている。ステアリングコラムは、フォード由来のものだ。
エンジンを始動させると、すぐに明確なエグゾーストノートに包まれる。基本的にはフォードのオフローダー、マーベリックに積まれるユニットと同じだが、排気音はドライに低音が効いていてトゲトゲしい。
この続きは後編にて。