【直感的で有機的】ノーブルM12 GTO-3へ再試乗 ミドシップの385ps 911とも比較 後編
公開 : 2021.08.05 19:05
M12 GTO-3と911とのライバル関係
今回は誕生から20年近くが経つ、グラスファイバー製ボディにフォード社製エンジンを載せたスポーツカーと、ピカピカの992型ポルシェ911カレラが一緒に並んだ。
新車当時、M12のベンチマークとなっていたクルマが、996型の911だった。992型を持ち込んだのは、そのライバル関係がどう変化したのか、確認したいと思ったからだ。
メカニズムを比べてみると、2台がかけ離れているというわけではない。どちらも3.0Lの6気筒エンジンを搭載し、2基のターボと24本のバルブが付いている。V型と、水平対向という違いはあるけれど。
最高出力は、911カレラが390psで、M12 GTO-3は385ps。車重は1505kgと1080kgで、小さくない差がある。
ノーブルの6速MTには少し引っかかりがあるが、トルクの山が大きく、予想よりテンポ良くシフトアップしていける。自由に流せる郊外の道では、3速より下を選びたくなる場面は殆どない。
ポルシェ911カレラには、8速PDKが組まれる。ギア比の設定が素晴らしく、ノーブルより落ち着いたクルージングを許してくれる。シフトアップは短時間でキビキビ完了し、160km/hくらいまでの加速時間はポルシェとノーブルで拮抗する。
しかし500kg近く軽い車重もあり、コーナーの間の短い直線で強い加速力を感じるのはノーブルの方。中間加速は、爆発的といっても良い。
M12の方がより直感的で有機的
反面、ポルシェのステアリングフィールには唸らされる。遥かに重く大きいクルマだが、フィードバックやリニアさ、操縦した時の一体感という点ではノーブルに近い。それでも、タイヤの幅が細くボディが軽いノーブルの方が、充足度は高いといえる。
全体的なドライビング体験としては、ノーブルM12 GTO-3の方がより直感的で有機的。ポルシェ911カレラよりも確かな運転操作や技術が求められるが、ミドシップ・レイアウトはリアエンジンより素直で、コーナーでの粘りも強い。
ポルシェの質量を支えているのは、無数の電子的なシャシー技術だという事実は見逃せない。911は、この20年間で最上級で最先端のシャシー技術を磨き込んだ。しかしM12は、生まれながらの優れた才能で、2021年にも通用する資質を備えている。
リー・ノーブルは2021年以降、どんなモデルを生み出すのだろうか。ノーブルM12 GTO-3は、その期待を高めることしかしなかった。