【スーパーカーに並んだサルーン】フェラーリ328とアルファ・ロメオ・ジュリア 技術進歩を実感 後編
公開 : 2021.08.08 09:45
番外編:過去のスーパーカーと現代のホットハッチ
ドイツ生まれの古いスーパーカーを超える性能を、同じくドイツ生まれの現代の高性能ハッチバックが備えている。しかも英国では、4万ポンド(616万円)以下で手に入る。
現代のモデルと比較しても、最新のゴルフRはスーパーカー・テリトリーに接近しつつある。だが、1978年から1981年に生産されたBMW初のミドシップ・スーパーカー、M1と比べると、その性能の差は歴然だ。
ゴルフRの方が最高出力は43ps、最大トルクは9.2kg-mも高く、0-97km/h加速は約2秒も鋭い。BMW M1は、Mディビジョンが開発した初めてのクルマ。モータースポーツ参戦のために生まれた、正真正銘のホモロゲーション・スペシャルだったのだが。
M1が自然吸気の3.5L直列6気筒エンジンを搭載するのに対し、ゴルフRのエンジンは2気筒と1.5L小さい。だが、ジュリアと同様にターボがアドバンテージを与えている。
ミドシップのハンドリング特性は、ゴルフRに搭載されたドリフトモードで、近い部分まで再現できなくもない。さらにハルデックス社が開発した四輪駆動システムのおかげで、古いスーパーカーを打ち負かすだけのトラクションも備えている。
2021年式ホンダ・シビック・タイプRと1990年式ホンダNSX
同じ日本メーカーでの比較も面白い。それぞれが新型へと進化を続け、過去にはNSXにもタイプRと呼ばれる仕様が存在していた。
初代NSXが登場したのは、1989年。高度な自動車技術を搭載した、当時最先端のスーパーカーの1台だった。ベンチマークはフェラーリ328に設定されていたが、信頼性は高く、価格も維持費も遥かに安く済んだ。
人間工学にも優れ、現代でも通じるほど。スーパーカーの基準を一歩進めた存在だった。
それから30年後、シビック・タイプRはNSXのカタログ値に並ぶ性能を獲得した。0-100km/h加速5.8秒、最高速度272km/hは、初代NSXの5.7秒と270km/hとほぼ一致。車重もシビック・タイプRが約1400kg、NSXが1350kgと、さほど増えていない。
シビック・タイプRの最高出力は320ps、最大トルクは40.7kg-mもあり、初期のNSXの260psと28.7kg-mを完全に超えている。2.0L 4気筒ターボと、3.0L 6気筒自然吸気というエンジンの違いは、ここでも同じ結果を示している。
さらにシビック・タイプRの定員は5名で、荷物も沢山詰める。性能を考えれば、感心してしまうパッケージングだ。