【詳細データテスト】ロータス・エキシージ 柔軟な加速 魔法のようなハンドリング 生産終了が残念
公開 : 2021.07.31 20:25 更新 : 2021.08.02 04:36
ロータスの新時代を切り拓いたエキシージへの惜別として、最終仕様をテスト。しかし、20年以上前の基本設計を踏襲するクルマとは思えない実力には舌を巻くばかり。ごく少量の受注生産でいいので、造り続けてほしいものです。
もくじ
ーはじめに
ー意匠と技術 ★★★★★★★★★☆
ー内装 ★★★★★★☆☆☆☆
ー走り ★★★★★★★★★☆
ー使い勝手 ★★★★★☆☆☆☆☆
ー操舵/安定性 ★★★★★★★★★☆
ー快適性/静粛性 ★★★★★★☆☆☆☆
ー購入と維持 ★★★★★★★★☆☆
ースペック
ー結論 ★★★★★★★★★☆
はじめに
エキシージは、ほかに代わるもののないクルマだ。どのようにすればこんなクルマが生まれるのか、不思議に思うくらいだ。教科書通りの答えなら、エリーゼをベースにして云々、ということになる。
1990年代にロータスを大きく変えた小さなロードスター、エリーゼにハードトップを与え、ハードコアに仕立てたのがエキシージ、というシンプルな認識が一般的だろう。
しかし、ドゥカティのバイクがヒントになった、という話もある。FFエランが商業的に失敗した後、シャシーデザイナーのリチャード・ラッカムとスタイリストのジュリアン・トムソンは、ロータス発展の礎となったエリーゼ・シリーズ1の構想を練るなかで、ボローニャ生まれの二輪車がみせる無駄のない美しさと宝石のようなコンポーネンツ、そして徹底的なピュアさからインスピレーションを得たらしいのだ。
エキシージの登場は、エリーゼに遅れること4年。その妥協なきアプローチは、むしろエリーゼ以上にドゥカティ的だった。ベースとなるのはエリーゼ同様、ロータス独自のアルミ押し出し材を用いた構造体。しかしエキシージには、コニの調整式ダンパーと太いスタビライザーを装着。ローバー製Kシリーズの1.8L直4は、大径スロットルボディを搭載した。
エクステリアにはエアスクープやウイングが追加され、タイヤはサーキット仕様のヨコハマを履く。それらを含めて、エリーゼより49kg重くなったとはいえ、それでもたったの780kg。エキシージは文句なしのライトウェイトマシンで、その走りはとんでもなく夢中にさせてくれる。
それから21年、3世代を数える間に、エキシージは重量を増した。同時期のポルシェ911に対し、2000年には60%程度だったウェイトは、いまや75%ほどに達した。ただし、そのエンジンは自然吸気の直4ではなく、V6スーパーチャージャーであることを忘れてはいけない。
そんなエキシージの最新世代であるシリーズ3だが、デビューは8年も前だ。それをいまさらロードテストの舞台に引きずり出した理由はただひとつ、これが最後の機会になるからにほかならない。
ロータスのコメントを引用するなら、このスポーツ390ファイナルエディションは「エキシージの生産最終年を記念して発売された」モデル。このシリーズ3の最終仕様をもって、エキシージそのものの歴史に幕が引かれることとなる。
付け加えるなら、エリーゼも同時に退任し、その跡目はニューモデルのエミーラとなる。いわば今回のテストは、自動車の現代史に輝く偉大なスポーツカー最後の花道。結果はおそらく、生産終了が悔やまれるものとなるだろう。