【詳細データテスト】ロータス・エキシージ 柔軟な加速 魔法のようなハンドリング 生産終了が残念
公開 : 2021.07.31 20:25 更新 : 2021.08.02 04:36
走り ★★★★★★★★★☆
スポーツ390の発進加速性能を最大限まで引き出すには、4000rpm程度まで回転を上げてから、クラッチペダルを踏む足を放すことになる。すると、リアタイヤがいかにうまく路面を掴むかに驚かされる。あとやるべきは、ショートストロークのシフトレバーでの変速時間を最小限に抑えることくらいだ。
暖かく乾いたテストコースでの0−97km/h加速は、4.0秒をマークした。公称タイムの3.7秒には及ばなかったが、メーカーの計測がわずかな燃料を積むのみで行われるのに対し、われわれは満タンでテストしていることにより生まれた差だといえる。
0−161km/hは9.4秒で、同じようなコンディションで計測したよりパワフルなM2 CSには0.6秒のビハインド。しかし、特化型スポーツカーであるだけでなく、本格スーパーカーといえるスペックも望むなら、エキシージにはカップ430という選択肢がある。
スポーツ390に関していえば、同じ価格帯でこれより速いクルマもあるが、そのなかに同じレベルのフレキシビリティを持つものはほとんどない。このロータスのトランスミッションは比較的ワイドレシオで、3速で145km/hに届き、4速はひと桁をかろうじて超えるくらいから190km/h以上までをカバーする。
しかし、3.5LスーパーチャージャーV6とシャシーの軽さゆえに、加速の不足を感じることはない。われわれがフレキシビリティを測る目安とする4速での48−113km/hは、M2 CSにコンマ1秒まで迫っている。43.0kg-mのピークトルクはスポーツ350から上積みされていないが、発生回転域が3000〜6700rpmと広がったことが、このパフォーマンスを可能にした要因だ。
この底なしのトルクとシャープなスロットルレスポンスは、ストップウォッチ的な性能だけでなく、じつに楽しく軽やかな走りに寄与する。よくできたクルマに乗っていることはすぐに確信できるし、それより時間は要するが秀逸なシャシーであることも次第にわかってくる。わざとシフトアップしてエンジン回転を落としても、また4500rpmを超えれば、エキゾーストのバルブが開き、テールからは強烈なサウンドがほとばしる。
もうひとつ言及しておくべきは、このファイナルエディションのストッピングパワーについてだ。APレーシングのブレーキは、フィールも精確さも備え、制動力にも優れている。113km/hからの制動距離はたったの42.2mで、M2 CSの43.7mを凌ぐ。
とはいえ、そのどちらもダラーラ・ストラダーレには敵わない。あちらはピレリの本気タイヤであるPゼロ・トロフェオRを履いているが、それにしても39.4mというスコアは衝撃的だった。