【違いを解説】横浜ゴム、アイスガード7発売へ 2月の北海道で分かったこと
公開 : 2021.07.29 19:25 更新 : 2022.01.30 18:43
スラローム 踏ん張って滑りを止める
まず雪道のブレーキングは3%、発進性能も3%向上した。雪上旋回は同等以上……と、曖昧だが差は少ないという意味だ。
実際に圧雪路で、ヤリスを使ってパイロンスラロームを行なうと、ステア操作に対する“正確な動き”という点が違う。
iG60は舵角を入れた時、左右に切り返した時の動きが、iG70よりも謂わば緩慢。ズルズルと前後輪で滑りながらスラロームして行く。
iG70は、ステア操作すると同時にノーズが入る。
曲がる前輪に後輪の追従が遅れるため、早いステア操作では後輪が横滑りを起こす。しかしiG70は、流れた後輪に、横方向へのたわみとトレッド面の剛性バランスとが一致した一体感がある。
滑った瞬間に、横方向にグッと踏ん張って滑りを止める。
この“滑りから回復させる能力”は、大きな違いだ。安定性につながると同時に、体感だけではなく、実際に高い速度で抜けて行くことができる。安心感にもつながる優れた安定性である。
プジョー/シトロエンがいい
同様にブレーキングの減速Gは、テストコースの平坦路面では、身体に明確に感じられるほど違って驚く。
iG70のトレッドデザインはiG60と同様、インとアウトでデザインが異なる非対称パターンを採用。アイスガード史上最大のエッジ効果を得るために、イン側は、傾き角度が異なる横溝によるエッジを効かせて発進・制動時にグリップ力を発揮。
センター部とアウト側にはジグザグに刻まれた縦溝が、雪上コーナリング時のグリップ力と排雪に効果を発揮する。
一方の氷上で威力を発揮するのは、ゴムの違い。
シリカを配合した新開発のウルトラ吸水ゴムが、氷上の滑りの原因である水膜を吸い上げる。iG60に比べてその差7%向上。経年劣化で硬くならない効果も合わせ持つ。
テストコースの直線と高速コーナリングを複数の車両で走り込んだが、テスト車が持つ操縦性の違いが如実に感じられる。
とくに注目は、高速からループ形状で巻込むコーナリング。シトロエンC3もプジョー508も、前輪のグリップ力の感触も手応えも確かで、舵が最後まで効き、ノーズからまさに巻込むように入る。
グリップ限界は後輪から迎えて、テールはスライドし、ノーズはイン側を向くと言う理想的な姿勢を披露。フランスのネコ脚2モデルとの相性はとくに好感触だった。
スープラの雪上テストは?
パワフルなFR、スープラではVSC(横滑り等抑制装置)オンの状態では何事も起らず、電子制御が舵角に会わせて最適な駆動力と四輪個々のブレーキをコントロールしクリア。
VSCオフでは盛大なホイールスピンとともに圧雪を蹴り飛ばし、パワーオーバーステアの姿勢に。
ここでもやはり、前輪が確実に路面を捉えているからこそ舵角どおりに曲がり、後輪はパワースライドで積極的な姿勢変化が叶う。
もちろんそれらはアクセルを踏み込み過ぎるためで、右足の力を弱めると、ファットな後輪から安定姿勢へと収まる。
という走りはテストコース故で、富良野~旭岳に向かう国道でも試乗したが(もちろん一般車両と混走するためグリップ走法に終始)、そうして操縦することに造作はない。
むしろ危険なのは、大型バス/トラックによる轍である。