【純EVの教科書】メルセデス・ベンツEQS 580 4マティックへ試乗 航続距離675km 前編
公開 : 2021.08.14 08:25 更新 : 2022.08.08 07:26
幅1410mmのハイパースクリーン
EQSの基礎骨格を構成するのが、新しいエレクトリック・ビークル・アーキテクチャ(EVA)。EQSの純EVシステムには、2種類が用意される。シングルモーターの後輪駆動と、ツインモーターの四輪駆動だ。
リアモーターが組まれるのは、リアアクスル・アッセンブリーの内側。フロントモーターは、前部サブフレーム内の低い位置に搭載される。
インテリアは、特に努力が注がれた部分。既存モデルの部品とEQSの専用品とが、巧みに組み合わされている。
標準では、ダッシュボードまわりは基本的にSクラスと同じ。メーターパネル用に12.3インチ、インフォテイメント用に12.8インチのモニターが並び、タッチセンサー付きのステアリングホイールが組み合わされる。
しかしEQSなら、ハイパースクリーンを指定したい。ダッシュボードのほぼ全面に、緩やかにカーブを描く巨大なワンピース・スクリーンが埋め込まれる。メーター用とインフォテイメント用、助手席用の3面のモニターで構成されている。
スクリーンの幅は1410mmにも達する。センサーで周囲の明るさを検知し、照度は自動的に調整される。ただし、日当たりの良い場所では反射が強く感じられた。
3面のモニターを動かすのは、8コアCPUと24GBメモリーを備えるコンピューター。その処理速度は、驚くほど速い。
OSは、最新世代のMBUXシステムがインストールされる。タッチモニターでの操作のほか、ハイ・メルセデスと呼ばれる対話形式の音声認識機能にも対応。ソフトウエアのアップデートは、無線通信で自動的に処理される。
107.8kWhバッテリーで航続距離は最長780km
オーナーは多くの機能を最新状態に保ちつつ、スマートフォン・アプリのメルセデス・ミーを介してサブスクリプション・サービスを利用可能。ナビの誘導などを表示するヘッドアップ・ディスプレイは、拡張現実機能も実装している。
センターコンソールは大きく高く、運転席と助手席とを明確に分断。小物入れなど、収納には事欠かない。
フロントシートは幅が広く、横方向のサポート性は高くないとしても、極めて快適。オプションで19基の調整用モーターを搭載でき、マッサージ・プログラムも10種類が用意される。
リアシートは、3名掛けのベンチシートか、2名掛けの独立シートかを選べる。足もと空間や肩周りは非常にゆったりしている。
EQSはボンネット側に荷物を積めないが、リア側の荷室は610Lの容量がある。Sクラスより60Lも大きく、分割式のリアシートを倒せば、最大で1770Lに拡大できるという。
当初英国へ導入されるEQSは2種類。お手頃な方が、EQS 450+と呼ばれるグレード。車重は2480kgあり、シングルモーターで最高出力333psと最大トルク57.8kg-mを発揮する。0-100km/h加速は6.2秒がうたわれる。
バッテリー容量は、当面107.8kWhの1択。航続距離は780kmに達する。電費は5.0-6.2km/kWhだ。
今回試乗したのは、四輪駆動のEQS 580 4マティック。車重は2510kgに増えるが、ツインモーターでシステム総合の最高出力は523ps、最大トルクは86.9kg-mとたくましい。航続距離は675km、電費は4.6-5.4km/kWhへ落ちる。
この続きは後編にて。