【50年後でも仰天】ランボルギーニ・カウンタック LP400から25thアニバーサリーまで 前編
公開 : 2021.08.14 19:25
1971年、地球外の宇宙船のように見えたカウンタック。50年を経た今でも、その存在感は衰えていません。英国編集部が絢爛な4台を乗り比べしました。
強烈な印象を与えたカウンタック
たとえ運転したことがなくても、ランボルギーニ・カウンタックはいつも心の中にあった。少し大げさかもしれない。でも1970年代のスーパーカーブームで、若者の部屋に飾られていたであろう1番のポスターは、カウンタックだったのではないだろうか。
鮮烈な登場から10年が過ぎた1980年代後半でも、カウンタックは健在だった。子どもの心にこれほど強烈な印象を与えたモデルは、他にあっただろうか。今でも特定の年齢の大人にとっては、特別なクルマであり続けていると思う。
もし、そんなカウンタックが4台も揃ったら。電気が走って、その場に立ち尽くしてしまいそうだ。
今でも、周囲の空気を大きく変える。2021年に見ても鮮烈。ほぼ同じ形のLP500プロトタイプが、50年前の1971年ジュネーブ・モーターショーに出展されたのだ。会場の反応は、さぞかしスゴイものだっただろう。
自動車雑誌、ロード&トラックはこんな記事を載せている。「カウンタックとは、驚きを表現するトリノの方言。オーマイゴッドや仰天、といった意味ですが、実際にそんな印象を与えます」
「最高速度300km/hは、ドラマチックなこのクルマが備える可能性。もしこのフォルムで生産されないなら、(速度を)達成する機能のためでしょう」
そして、ほぼそのままの形で生産された。ランボルギーニは、5年前にミウラでフェラーリを挑発した時と同じように、公道用モデルを介して中指をマラネッロに突き立てた。
チューブラーフレームに宝石級のV12
カウンタックは、沢山のエアスクープやダクトで走行性能を実現させた。必要なものへの妥協はなかった。しかし、ボディに与えられた穴や膨らみは、別世界からやって来たようなオーラを増幅させることにも役立った。
見た目は、これまでのクルマと一線を画す。だが、内側にも驚嘆の声を上げるような構造を秘めている。
マルチチューブラー・スペースフレーム構造の主要骨格に、さらにチューブラー構造が追加され、アルミニウム製のボディを搭載。ロールケージの機能も果たしていた。
フロント側の構造は、サスペンションのウイッシュボーンとコイルを支持。リア側も同様の構造だが、コイルオーバー・ユニットは片側に2本づつ与えられた。その中央には、オールアルミニウム・クワッドカムのV型12気筒エンジンが収まった。
ジオット・ビッツァリーニが基本設計を施し、ジャンパオロ・ダラーラが磨き込んだ宝石級のエンジンは、主任エンジニアのパオロ・スタンツァーニの采配により、ミウラとは異なり縦向きに搭載。エンジンの前方でトランスミッションにつながっている。
珍しいレイアウトではあったが、そのおかげで燃料タンクとラジエターも、ホイールベース内に搭載が可能だった。エンジンでも特に重い部品となるフライホイールが、クルマの重心位置に近い場所に来るというメリットもあった。
パッケージングは傑作といって良いだろう。基本的なレイアウトは1971年以降の約20年間、ほとんど変更されることはなかった。