【50年後でも仰天】ランボルギーニ・カウンタック LP400から25thアニバーサリーまで 前編
公開 : 2021.08.14 19:25
純粋なデザインが特別感を強めるLP400
カウンタックLP400の生産が始まったのは1974年。ランボルギーニを創業したフェルッチオ・ランボルギーニは、その時までに株式を手放し経営を退いていた。オイルショックが世界を襲い、イタリアは産業的にも政治的にも、不安要素で溢れていた。
ちなみにLP400とは、ロンジドゥディナーレ・ポステリオーレ 4リトロの略。縦置きミドシップ、4Lの意味がある。
1977年までに、ランボルギーニは150台のLP400を生産している。今回ご登場願った1台は、1976年10月に納車されたカウンタック。マローネ・メタリザートと呼ばれる、落ち着いたメタリック・ブラウンのボディカラーが素晴らしい。
1970年代に快楽主義を象徴したように、現在も自己主張が非常に強い。フォルムは読者の脳裏にあるままだと思う。LP400のボディサイズを、写真ではお伝えしきれないのが残念だ。
恐らく、カウンタックは大きいスーパーカーとして記憶しているはず。しかし実際は、現在のハッチバックと比較できるくらい小ぶりなのだ。全長は4140mmしかない。
それでも、LP400が放つ衝撃力は衰えていない。今回の4台の中で見た目は1番大人しいが、純粋なスタイリングが特別感を強めている。
後期モデルのように、バンパーにはチンスポイラーが付いていないし、オーバーフェンダーやウイングもない。それでも、ジュネーブ・モーターショーで出展された時のインパクトを今に残す。
疑問を抱くほど窮屈な車内
ベルトーネ社のチーフデザイナー、マルチェロ・ガンディーニが描き出した未来的なコンセプトカー、アルファ・ロメオ・カラボ。その要素が浄化され、ランボルギーニに落とし込まれている。
ガンディーニは、自動車として確立されていた一般的な形やイメージに気を留めなかった。トレードマークともいえる、キックバックしたリアのホイールアーチは好例だ。
ボディサイドにはNACAダクトがえぐられている。その影には、ドアを開閉するためのボタンが付いている。ダクトのくぼみは、シザーズドアを持ち上げる時の取っ手にもなった。こんなディテールを観察していると、何杯もワインを飲みながら過ごせる。
実際にLP400の車内に身体を押し込んでみると、少し圧倒される。ボディのスタイリングと機械的なパッケージングとのトレードオフが、明確になる。何しろ車内は窮屈だ。
なぜこうなったのか、疑問を持ってしまう。技術者とスタイリストは、シャシーとボディを結合する前に1度でも相談したのだろうか。
頭上空間は非常に限定的。薄いパッドの入ったシートは、ほとんど位置調整できない。リアのバルクヘッドは、シートの直後。お尻はシザーズドアの開口部より下に収まる。高いサイドシルと幅の広いセンターコンソールの間に、身体をはめる。
フロントのホイールハウスも車内を侵食している。3枚のペダルの間隔は狭く、ほぼ垂直に立てられたステアリングホイールが膝の上に伸びている。
この続きは中編にて。