【50年後でも仰天】ランボルギーニ・カウンタック LP400から25thアニバーサリーまで 中編

公開 : 2021.08.15 11:25

1971年、地球外の宇宙船のように見えたカウンタック。50年を経た今でも、その存在感は衰えていません。英国編集部が絢爛な4台を乗り比べしました。

速度が増すほど運転しやすくなる

text:Richard Heseltine(リチャード・ヘーゼルタイン)
photo:Remi Dargegen(レミ・ダルゲゲン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
ランボルギーニカウンタックLP400の車内は窮屈だが、運転席に座れなくはない。3929cc自然吸気V12エンジンのサウンドを直ぐそばで楽しめるのだから、多少のことは許せてしまう。

キーをひねると、電気じかけの2基の燃料ポンプが音を立てて燃料を吸い始める。コツコツという音を聞きながら、さらにキーを半回転回すと威勢よくエンジンが目覚めた。

ブラウンのランボルギーニ・カウンタックLP400とレッドのカウンタックLP400S、ダークブルーのカウンタックLP500S、ブラックのカウンタック 25thアニバーサリー
ブラウンのランボルギーニ・カウンタックLP400とレッドのカウンタックLP400S、ダークブルーのカウンタックLP500S、ブラックのカウンタック 25thアニバーサリー

見た目と同じくらい、LP400は期待通り。380psという最高出力が、モデルライフの経過とともに徐々に増えていったとしても、紛れもなくカウンタックだ。

低速でLP400を運転することは、きつい労働にも思えてしまう。ラック・アンド・ピニオンのステアリングラックは重い。クラッチは強力に漸進的につながるが、それを操るには足の筋力を使い切らなければ難しい。

ストロークの長いアクセルペダルも重い。左右に6基並んだキャブレターのスロットルリンクを、同時に動かす必要がある。

速度が増していくほどに、手足の重さが徐々に気にならなくなる。LP400は驚くほど運転しやすくなり、直線的にトルクが増大し、絶え間ない加速に浸っていられる。

V12エンジンは低回転域から意欲的に速度を高め、ツインチョークのウェーバー・キャブレターの吸気音と、唸る排気音に陶酔してしまう。2000rpmを超えてしまえば、滑らかにパワーが放出されはじめる。音響も素晴らしい。

一層ワイルドなLP400Sへ進化

速く走るほど、LP400は良くなっていく。リバースが左上にある、ドッグレッグ・パターンのシフトレバーも重い。しかしメカニカルな変速感が心地良い。ブレーキも2度め以降は反応が良く、強力に速度を落としてくれる。

カウンタックの運転で必要なことは、確実な注意力。それさえ忘れなければ、大きな充足感で満たされる。  

ランボルギーニ・カウンタックLP400S(1979年/欧州仕様)
ランボルギーニ・カウンタックLP400S(1979年/欧州仕様)

後期のカウンタックと比べてタイヤのサイドウオールが厚いものの、ステアリングはとても正確。スーパーカーの中にはリモート感がある手応えのものもあるが、LP400は違う。ドライバーの感覚通りに操れる。

筆者の以前の経験では、メーター読みで130マイル、209km/hくらいまで、LP400は矢のように真っ直ぐ突き進む。左右にステアリングが取られるワンダリングや、高速でフロントタイヤが浮くような感覚もない。

5速なら、1000rpm増える毎に41km/hスピードが上昇していく。高速道路は序の口に過ぎない。

ランボルギーニらしく、LP400は一層ワイルドなLP400Sへ進化した。1974年、3台目のカウンタックLP400が届けられたのは、カナダに住む実業家のウォルター・ウルフ。しかし、彼は充分に満足できなかったらしい。

そこでダラーラへ自身のアイデア実現を依頼し、ピレリには低扁平率のP7タイヤの開発を要求した。デザイナーのマルチェロ・ガンディーニには、オーバーフェンダーと新しいスポイラー、バンパーのデザインを頼んだ。

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