【時代が変わる】正統なランボルギーニの最終章 ウルティメが伝えたいものとは

公開 : 2021.08.04 06:45  更新 : 2021.10.11 13:56

シートの仕様が語る、ウルティメの主張

その特徴的なビジュアルは、まさに上質な「S」とアグレッシブな「SVJ」の見事な融合が生んだ美しさを備えたもの。

フロント部のエアロダイナミクスには、SVJで培った技術が投入されるが、「S」のイメージを強く反映したプレーンな魅力を引き継ぐ。

ランボルギーニ・アヴェンタドールLP780-4ウルティメ
ランボルギーニアヴェンタドールLP780-4ウルティメ    斎藤基明

逆にリアエンドは、サーキット志向の「SVJ」の影響を強く反映。派手なウイングこそないが、テールパイプが、テールランプの中央にあるリアグリルから突き出ている姿は、まさにファイティングブルに相応しい演出だ。

無論、これはエンジン高性能化のための必要な変更である。

これだけの性能に対して、リアのエアロダイナミクスが不足するように思えるが、その点については、「アクティブ・エアロ・システム」が補完し、走行状況に合わせた最適なセッティングを行ってくれるのでご安心を……。

インテリアに目を移すと、戦闘機のコクピットを彷彿させる刺激たっぷりのダッシュボードには、ファイナルモデルを示すシリアルナンバープレートを装着。

ホールド性に優れるシートには、「Ultimae」の刺繍が施され、特別感を盛り上げる。

特筆すべきは、シートが「S」と同じコンフォートタイプとなること。これはスペック至上主義ではなく、オールラウンダーを目指したファイナルモデルの特徴を物語るアイテムといえるだろう。

救世主の復帰 別れは新天地への道標か

ファイナルモデルとなる「ウルティメ」は、クローズドクーペが350台、脱着式ルーフを備える「ロードスター」が250台それぞれ生産される。

日本での価格は、クーペが5454万3088円、ロードスターが5986万4236円となる。残念ながら、すべて売約済みだ。

ランボルギーニ・アヴェンタドールLP780-4ウルティメ
ランボルギーニ・アヴェンタドールLP780-4ウルティメ    大音安弘

これはカタログモデル「S」も同様となる。すでに新車のアヴァンタドールを、手にするには、在庫車を探すしかない状況なのだ。

そして、「ウルティメ」の多くは、熱心な愛好家のもとで長く車齢を重ねていくことだろう。今回の展示されたマットグレーのクーペも、日本には留まらず、香港での展示イベントを終えたのち、イタリアへ帰国する予定。

確かに、1つの正統なランボルギーニの系譜は終わりを迎えた。しかし、そう悲観する必要もない。ファイティングブルの情熱が、失われた訳ではないからだ。

2023年以降、全てのランボは、プラグインハイブリッド化されていくことが明らかになっている。これはベビーランボの「ウラカン」の後継や、SUV「ウルス」の継続を意味しているのは間違いない。

さらに先には、初のEVも計画されている。その流れの中で、やはり気になるのは、フラッグシップモデルの行方だ。

現時点では不明だが、現代ランボルギーニの救世主となったステファン・ヴィンケルマン氏が、2020年12月に、再びトップに就任した。ランボルギーニの魅力と底力を知り尽くした彼なら、きっとワクワクする未来を見せてくれるはずだ。

記事に関わった人々

  • 徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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