【詳細データテスト】日産キャシュカイ 力不足のエンジン 一貫性のないステアリング 実用性は高水準
公開 : 2021.08.07 20:25
意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆
このクルマのデザインは、2021年のコンパクトSUVに期待されるじつに多くの要素を備えている。シャープな形状のLEDヘッドライト、コントラストカラーのフローティングルーフ、2色仕上げの大径ホイールなどなど。
そして、全方位で先代より少しずつ大きくなっている。全長は35mm、ホイールベースは20mmそれぞれ長く、全高が25mmアップし、全幅は32mm広がった。ただし、先代との類似性は残されており、とくにそれはリア周りに見て取れる。
新型キャシュカイは驚きを狙ったものではないが、個性的なデザイン要素を数多く取り入れた。先に挙げたフローティングルーフやLEDヘッドライトだけでなく、フロントバンパーに穿たれた縦方向のエアダクトもそうだ。そしてボディカラーは、16の組み合わせからチョイスできる。
ボンネットの下の変化は、外観よりもう少しラディカルだ。先代にあったディーゼルは姿を消し、ラインナップは完全に電動化された。1.3L直4ターボのガソリンユニットは、先代の最終型からのキャリーオーバーで、138psと158psの2仕様が用意されるのも同様だが、いずれもマイルドハイブリッドアシストが追加された。
トランスミッションは6速MTが標準仕様で、高出力版のみCVTがオプション設定される。また、4WDが選べるのも158ps版のみだ。
マイルドハイブリッドシステムは48V仕様ではなく12V仕様で、加速時のアシストトルクはほんの0.6kg-m程度。むしろその存在意義は、ストップ/スタートをスムースにすることと、エンジン停止時に装備類へ電力供給することにある。
ディーゼルに代わる低燃費モデルとして近々追加されるのは、日産ご自慢のeパワーだ。
数多くのメーカーがハイブリッド投入の余地を探る中で、さまざまなタイプのパワートレインが登場している。おなじみトヨタのそれはCVT的に機能し、ルノーはクラッチレスのギアボックスを組み合わせる。DCTを選択したメーカーもあるし、ホンダなどはそもそもギアボックスを使っていない。
日産のそれはホンダのようにトランスミッションを用いず、1.5Lエンジンはバッテリーチャージのための発電に専念して、駆動力は187psの電気モーターで賄う。ガソリンをエネルギー源にしながら、EVの走りを体感できるシステムというわけだ。
プラットフォームは、ルノー-日産アライアンスが広く用いるCMF-Cのアップデート版。リアサスペンションは大半の仕様がトーションビームだが、4WD車と20インチホイール装着車はマルチリンクを採用する。
日産の説明では、プラットフォームのアップデートでロードノイズの遮音性を高め、サスペンションジオメトリーの改善でより落ち着きのある乗り心地を実現しているという。また、アルミ素材の使用比率を高めることで、ボディサイズを拡大しながら、重量増加を抑えている。