【詳細データテスト】日産キャシュカイ 力不足のエンジン 一貫性のないステアリング 実用性は高水準
公開 : 2021.08.07 20:25
操舵/安定性 ★★★★★★★☆☆☆
走りに熱中することが期待しづらいセグメントにあっても、キャシュカイがもっともダイナミックな走りをするクルマだとは決していえなかった。それは、この新型でも変わっていない。
それでも日産は、快適性についてはいい仕事をした。このクラスのクルマが、もっとも上質なサスペンションの恩恵に預かることはないだろう。だが、このキャシュカイに路面のくぼみの影響はそれほど大きくないし、大きな波のアンジュレーションでもボディはよく抑えられている。
市街地での速度域では、ときにダンパーが小さな路面不整を処理しきれず、多少揺すられることもある。しかし全般的には、非常に快適なクルマだ。
ハンドリングは安全志向で、楽しみを求めたものではない。235幅のワイドなタイヤを履いているにもかかわらず、コンチネンタル・エココンタクトはグリップ重視ではなく、この手のクルマには最適な特性。テストコースでわかったのは、ESPシステムが限界域での挙動を控えめに制御するのがうまいことだ。ブレーキ性能も上々で、2.7秒という97−0km/hのタイムはみごとだ。
運動性における欠点のひとつがステアリングだ。小舵角ではきわめて軽いが、タイトコーナーへやや速めに進入して大きく切り込むと突如として手応えが増す。いいことだと思うかもしれないが、実際にはそれが不自然で一貫性がないのだ。そして、自信を持って走行ラインを決められないので、熱意を削がれてしまうことが多いのだ。
ステアリングの軽さはしかし、取り回しのよさという利点がある。最小回転直径は11.1mで、たとえ先代より大型化したことを抜きにしても、駐車に困るほど大きいわけではない。
凝ったデザインのDピラーが肩越しの資格を生み出してはいるものの、前方視認性は悪くない。高い着座位置と長くフラットなボンネットによって、見切りがよく、街なかでもクルマを走らせる位置を把握しやすい。