【抗しがたいディーゼルの余裕】アウディSQ5 TDIへ試乗 ターボ+電動コンプレッサー
公開 : 2021.08.15 08:25
反応が予想しやすく安心感の高い操縦性
四輪駆動システムのクワトロは、条件を問わず優れたトラクションを与えてくれる。高速でのコーナリング時は、ボディの動きも良く制御できている。ドライバーとの一体感は濃くないものの、入力に対する反応が予想しやすく、安心感は高い。
可変レシオのステアリングは、低速域では少し不自然さを感じるほど軽い。切り込んでいくと程よく重みが増していく。フィードバックは殆どない。
安楽に高速で運転でき、ドライビング体験のドラマ性は小さい。つまり、長距離クルーザーとしては最適。知的なマイルド・ハイブリッドの力で、エフィシェンシー・モードでは惰性走行時にエンジンを休止させることもできる。
燃費は12.0km/L程度で、驚くほどではない。とはいえ、長距離を走ることの多い英国人にとって、少しでも良い方がうれしいことに違いはない。
乗り心地は、20インチ・アルミホイールを履くパフォーマンス重視のクロスオーバーとしては、感心するほど快適。舗装したてのアスファルトはもちろん、郊外の荒れた路面を上手に処理し、落ち着きのある移動空間を生んでいる。
ダイナミック・モードを選ぶと、硬さが目立つ。だが、高速道路を降りた途端にコンフォート・モードに切り替えたいと思うほどではない。
インテリアで筆者が高く評価したいのが、座り心地の良いスポーツシート。前方視界もとても良い。リアシートは、クーペ風のスポーツバックより頭上空間で有利。荷室空間も広いが、期待するほどの違いは感じられないだろう。
抗しがたい長距離をひと飲みにする勢い
電動化技術の普及は進む一方。ディーゼルエンジンの訴求力が強まっていることはない。それでも、アウディSQ5の長距離をひと飲みにするような勢いを否定することは難しい。
非常に快適で能力に優れた、目的地までの移動手段でありながら、2t以上あるボディを苦もなくまくし立てられる。サウンドはやや人工的で、ドライビング体験は興奮度が低いとしても、訴求力は充分に高い。
クーペ風と今回のワゴン風、どちらのボディスタイルを選ぶべきか。リアシートに座る方には申し訳ないが、筆者ならSQ5スポーツバックを選びたい。路上でのプレゼンスに惹かれてしまう。
アウディSQ5 TDI(英国仕様)のスペック
英国価格:5万8115ポンド(894万円)
全長:4689mm
全幅:1893mm
全高:1660mm
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:5.1秒
燃費:12.2km/L
CO2排出量:215g/km
車両重量:2085kg
パワートレイン:V型6気筒2967ccターボチャージャー+電動コンプレッサー
使用燃料:軽油
最高出力:340ps/3800-3950rpm
最大トルク:71.2kg-m/1750-3250rpm
ギアボックス:8速オートマティック