【なぜ?】4代目で失速 ホンダ・フィットが売れない4つのワケ
公開 : 2021.08.09 05:45 更新 : 2021.10.22 10:07
販売網で圧倒 ライバル「ヤリス」の影響も
販売が伸び悩む2つ目の理由はライバル車の動向だ。
2020年2月には、フィットとあわせてトヨタから新型ヤリスも登場した。
ヤリスは発売時点では一部地域を除くとネッツトヨタ店の専売だったが、2020年5月からは、トヨタの販売体制の変更によって全店(4600店舗)が扱う。
ホンダの販売店は2200店舗弱だから、販売規模はヤリスの半分以下だ。
そしてヤリスは2021年1~6月の1か月平均で、フィットの2倍に相当する約9900台を登録した(ヤリス・クロスとGRヤリスを除く)。
ライバル車のヤリスがフィットと同時期に登場して、大量に売られた結果、フィットが顧客を奪われた面もある。
2020年12月には、新型ノートも販売を開始したから、コンパクトカー同士の販売競争は一層激しくなった。
身内にも敵 フィットの顧客食うNボックス
3つ目の理由は、フィットと同じホンダが販売するNボックスの好調な売れ行きだ。
Nボックスは2021年1~6月の1か月平均届け出台数が1万8400台に達した。
フィットの3~4倍に相当する。ヤリスと比べても2倍近い。
Nボックスは軽自動車ながらも空間効率が優れ、車内はフィットよりも広い。
後席側のドアはスライド式だから、ミニバンのように乗り降りもしやすい。安全装備や運転支援機能でも遜色はない。
Nボックスの価格は、フィットのノーマルエンジン車と同程度か少し安いので、実用重視のユーザーはNボックスを選ぶ。
Nボックスが1か月平均で1万8400台も売られると、フィットが影響を受けて当然だろう。
不運 半導体不足も台数低迷の原因に
4つ目の理由は半導体の不足だ。
半導体が足りないのはフィットに限った話ではないが、販売店では「半導体の影響は車種によって異なり、フィットでは納期の遅れが目立つ。フィットの車両本体は完成しても、ディーラーオプションのカーナビが遅れて納車できない場合もある」という。
以上のように、主に4つの理由に基づいてフィットの売れ行きは伸び悩む。
それでも車両自体は合理的に開発されて機能が優れ、価格は割安だ。コンパクトカーを買うときにはフィットもチェックして欲しい。