【全方位ニスモ流】日産ノート・オーラ・ニスモ試乗 オーテックとは異なるレシピ

公開 : 2021.08.17 12:40  更新 : 2021.10.09 23:18

プレミアムクラス? 全速度域で「扱いやすい」

フットワークの狙いどころはこれまで試乗したニスモ車と同じ。

操る手応えを演出するための無用な味付けはなく、操安性のセオリーに則った挙動と特性を基本としている。

日産ノート・オーラ・ニスモ
日産ノート・オーラ・ニスモ    山本佳吾

つまり、癖を理解して手当をするように乗りこなす必要がないわけだ。

ハンドリングの基本特性は、当然の如くコントローラブルな弱アンダーステア。

じわりと減速させてラインを絞るも開けながらラインを拡げるのも自在。

ロールなどではオーバーシュート気味の挙動が少なく、収束のための抑え操作もほとんど必要としない。ラインコントロールのための必要最小限の操作しか要求しない。

しかも、しっかりと後輪をグリップさせた挙動で前後輪のグリップバランスが安定しているので速度やコーナー半径が変わっても扱いを大きく変える必要がない。

どの速度域でも同じような感覚で操れるのも大きな長所。プレミアムクラスの高性能車を彷彿させる特性である。

ただし、逆に操舵だけで振り回すような扱いには反応が鈍く、一般的にいう軽快感とか切れ味という面では鈍なタイプでもあるが、そこはニスモ車の狙いではない。

ベースとなったオーラの素性のよさもあるのだろうが、スポーツ仕様相応の硬さは多少感じるものの乗り心地も悪くない。

路面段差には多少神経質な部分もあるが、総じてストローク制御はしなやかであり、収束性も良好。乗り心地の側面でも質感に優れたフットワークである。

レカロはOPも 意外に買い得感のある価格設定

現行ノートにニスモ仕様の設定はないのだが、カスタマイズ仕様としてオーテックが設定されている。

冒頭でも述べたように落ち着きのある大人っぽいプレミアム感が特徴。

日産ノート・オーラ・ニスモ
日産ノート・オーラ・ニスモ    山本佳吾

そしてニスモ仕様はノートの上級発展モデルとなるオーラへの展開となる。

オーテックとニスモの2つのキャラを使い分けた形となっている。

ちなみに価格はノート・オーテックが約250万円、オーラ・ニスモが約287万円。

ベース車の価格差は装備揃えなら20万円くらいの見当なので、ごくごく大雑把ながらオーテックとニスモの価格差も20万円程度と見積もっていいだろう。

ニスモ仕様はパワートレイン制御やシャシーにまで手を加えているので、意外と買い得感のある価格設定だ。

なお、オーラ・ニスモのインテリアの売り物の1つ、専用設計のレカロシートは39.6万円のオプションであり、前記価格には含まれていない。

ノートもオーラもプレミアムコンパクトとして完成度の高いモデルのため、無理してカスタマイズ仕様を選ぶ必要はないと思えるのだが、ベース車の持ち味を伸ばすようにカスタマイズされているので、「自分へのご褒美」的な贅沢を考えてしまうのがミソ。

しかも、オーラ・ニスモは良質な高速ツアラーとしての資質も高めたモデルなので、とくに長距離用途が多いユーザーにはメリット大。

カスタマイズ仕様はカーマニアのためのモデルと短絡せずに、走りの質にこだわったプレミアムコンパクトとして評価すべきモデルである。

記事に関わった人々

  • 山本佳吾

    Keigo Yamamoto

    1975年大阪生まれ。阪神タイガースと鉄道とラリーが大好物。ちょっとだけ長い大学生活を経てフリーターに。日本初開催のWRC観戦をきっかけにカメラマンとなる。ここ数年はERCや欧州の国内選手権にまで手を出してしまい収拾がつかない模様。ラリー取材ついでの海外乗り鉄旅がもっぱらの楽しみ。格安航空券を見つけることが得意だが飛行機は苦手。
  • 川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。

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