【ニーズを満たすクロスオーバー】新型 ヒュンダイ・バイヨンへ試乗 1.0マイルドHV
公開 : 2021.08.21 08:25
快適性と上質さ、運転のしやすさ
エンジンのラインナップは限定的。英国では、1.0LのT-GDIと呼ばれるガソリンターボの1択。電圧48Vのマイルド・ハイブリッドで、最高出力は100psと119psの2段階が用意される。トランスミッションは、6速MTか7速デュアルクラッチATが組める。
最も安価なグレード設定なら、英国では同等グレードのヴォグゾール(オペル)・クロスランドよりわずかに安い。だが、シトロエンやルノーの方が価格価値では上。バイヨンも装備内容を充実させると競争力が出てくる。
試乗車のインテリアは、やや単調さを感じるグレーで統一されていた。全体的な素材は光沢の強い硬い樹脂が中心で、触覚的な印象はイマイチ。ダッシュボード中央には水平に複数のリブが入り、ホコリは溜まりやすそうだが、視覚的には悪くなかった。
フロントシートは快適。モニター式のメーターパネルは、表示がシャープでクリア。小物入れが充実し、インフォテインメント・システムのインターフェイスもわかりやすい。全体の組み立て品質はガッシリ感があり、頑丈そうではある。
バイヨンを走らせてみる。動的特性として優先されているのは、快適性と上質さ、運転のしやすさ。かなり良い水準でまとめられている。
エンジンやサスペンションの動きは、車内から距離が置かれた印象で、ノイズも小さい。高負荷時に回すとエンジンからは荒っぽい音が響いてくるが、中回転域では活発にバイヨンを動かせるだけのトルクが得られる。
燃費は、実際の利用環境で17.7km/Lくらいだろう。CO2排出量は121g/kmだ。
クルマへのニーズは充分に満たせる
乗り心地はソフトというほどではなく、むしろ市街地の速度では硬さを感じる。そのかわり、一貫した姿勢制御に仕立てられ安心感は高い。
グリップレベルは、クロスオーバーとして妥当。少し早めにコーナーへ侵入すると、フロント内側のタイヤが穏やかに滑りスキール音を立てる。
エンジンとステアリングは、もう少し煮詰める余地がありそうだ。アクセルレスポンスは踏み始めで鈍さを感じ、パワーデリバリーは線形的ではなく、フラットスポットがある。
ステアリングはセルフセンタリング傾向が強く、低い速度域では直感性でやや劣る。しかし多くの競合モデルとは異なり、アシストが強すぎたり、軽すぎたりということはない。
ニューモデルのヒュンダイ・バイヨンは、手頃な価格で実用的で、充分に良く走るコンパクト・ファミリーカーだといえる。強く心を奪われたり、多くの視線を集めることはないかもしれないが、クルマへのニーズは充分に満たしてくれる。
混雑した駐車場では、少し発見しにくいかもしれない。だがその控えめさも、多くのユーザーにとっては悪い特徴とはいえないと思う。
ヒュンダイ・バイヨン 1.0 T-GDI 120プレミアム(英国仕様)のスペック
英国価格:2万3245ポンド(357万円/試乗車)
全長:4180mm
全幅:1775mm
全高:1490mm
最高速度:185km/h
0-100km/h加速:10.4秒
燃費:18.2-19.2km/L
CO2排出量:121g/km
車両重量:1120kg
パワートレイン:直列3気筒998ccターボチャージャー+ISG
使用燃料:ガソリン
最高出力:119ps
最大トルク:17.5kg-m
ギアボックス:6速マニュアル