【お金がかかるのは当たり前】フェラーリ 古い個体の予防的メンテナンス 劣化を防ぐ修復作業

公開 : 2021.08.12 19:25

事実:フェラーリにはお金がかかる

フェラーリ・プレミアムに加えて、20年以上経過したクルマを対象とした「フェラーリ・クラシケ」というプログラムがある。旧車を点検して認証するフェラーリの部署にちなんで名付けられたもので、ディーラーによる検査から始まる。

英国のフェラーリ・ディーラーは、クルマを隅々まで検査し、特にオリジナル性に注意を払い、写真付きの報告書を作成する。報告書はフェラーリ・クラシケに送られ、チェックを受けて承認される。承認されたクルマには、状態とオリジナル性を証明する証明書と、それを裏付ける証拠が詰まった大きな革製のファイルが送られる。希少なモデルにとっては特に、その価値を高める資産となるだろう。

正規ディーラーでの作業の様子
正規ディーラーでの作業の様子    AUTOCAR

フェラーリ・プレミアムと同様に、クラシケの価格はモデルによって異なる。最も安いものでもVAT込みで約5215ポンド(約80万円)、これにディーラーの検査料1200ポンド(約18万円)がかかる。360と550ではこの価格となる。

最も高価な場合、1万5645ポンド(約240万円)とディーラー検査料がかかる。1958年の250TRなど、希少性の高いモデルにのみ、この価格が適用される。

高走行距離の360オーナーにとっては、クラシケはあまり魅力的とはいえない。だが、わたしが乗せてもらった360のように、低走行でコンディションの良い個体であれば検討する価値があるし、売却時にも有利に働くかもしれない。

これまで見てきたように、費用は決して安くない。予防的なメンテナンスにそれだけのお金を払う価値があるのだろうか?その答えを出すには、従来の価格やコストパフォーマンスの概念を捨てなければならない。

事実、フェラーリは、所有と維持に多大なコストがかかる特別なクルマだ。些細なトラブルでも、それを解決するためには多額の費用がかかるが、フェラーリ・プレミアムは、そのようなトラブルを未然に防ぐことを目的としている。

何年も愛用するつもりなら、プレミアムを受けることが大きなメリットとなる。この作業を終えれば、フェラーリが意図した通りの運転を楽しむことができる。

フェラーリを消耗させない作業

フェラーリ・プレミアムは、それを実行するメカニックがいてこそ成り立つものだ。わたしが訪れたスウィンドンのフェラーリ・ディーラー、ディック・ロベットは、幸運にも優秀で若い2人のメカニックを抱えている。ジャックは8年前に見習いとして入社し、4年間のトレーニングを経て資格を取得。同僚のジェームスは、1年半前に見習いとなった。

わたしが運転した360スパイダーは、ジャックにとって3台目のプレミアム適用車だ。2人のメカニックは、古いフェラーリの整備経験を積むことができるだけでなく、日常のサービス作業を超えて自分自身に挑戦するチャンスでもあるため、このプログラムを気に入っているという。

フェラーリ360
フェラーリ360

ジャックは、1週間におよぶ作業は充実したものだったと語っている。

「主要な付属品のほとんどを交換しましたが、そのためにはしばしば大掛かりな解体が必要でした。例えば、燃料タンクを取り外すには、まずトランスミッションを下ろさなければなりません。でも、それだけの価値はありますよ。プレミアムがあれば、クルマは決して消耗することなく、長く楽しむことができます」

ちなみに、ジャックとジェームスが修理した360スパイダーは、2003年式で走行距離1万3000km、現在11万ポンド(1680万円)で販売されている。きっと誰かを幸せにするだろう。

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