【豪雨の高速でも平穏】スズキ・アクロス(4) 長期テスト ステアリングのOKボタン
公開 : 2021.08.28 09:45
トヨタRAV4のOEMとなる、スズキ・アクロス。PHEVのSUVとしての実力や、RAV4との違いなどを長期テストで英国編集部が確かめます。
積算1万2911km 豪雨の高速でも平穏な車内
英国が豪雨に見舞われた先日、南北に貫く主要高速道路のM1号線は巨大な水たまりと化した。しかしスズキ・アクロスは雨を避けて飛ぶカワセミのように、軽快に水面を切り裂くように進んでくれた。
筆者の妻はバーミンガムへ到着するまで、ずっと穏やかに眠っていた。リアワイパーは、久しぶりに本領を発揮。滑らかで静かに、仕事をこなした。そんな後ろの小さな出来ごとが気になるほど、アクロスの車内は平穏だった。
積算1万6378km トヨタRAV4との見た目の違い
筆者は久しぶりに、義理の兄弟を尋ねる機会があった。スズキ・アクロスと、このベースとなったトヨタRAV4とを比較する機会も与えてくれた。
彼が乗るのは、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)ではない、通常のハイブリッドを載せるRAV4。比較相手として同等の仕様とはいえないものの、筆者の目には明らかにRAV4の方が良く見えた。
ツートーンカラーのルーフに、より大胆なフロントマスクのデザインが与えられ、視覚的な主張が強い。それでも、スズキ・アクロスと決定的な違いを感じたわけでもない。
長期テスト車両がトヨタRAV4のPHEVだったとしても、今の印象を明確に超えるもになるとはいえないだろう。スズキ・アクロスは良く走り、運転しやすい。能力に優れ、とても快適だ。
一緒に毎日を過ごしやすい。運転する度に、わたしの気分を良くしてくれる。
ステアリングホイールのOKボタン
しかしトヨタRAV4なら、このクルマが何なのか、知らない人へ説明する必要は減るだろう。トヨタのOEM車両として、スズキが売っているモデルだと。スズキなのに最高出力は306psもあり、英国価格が4万6000ポンド(708万円)もすることも。
駐車する時に、ヘアドライヤーと映画に登場する宇宙船を混ぜたような音が出ることも、トヨタならまだ理解が早いと思う。恐らく。
アクロスは、乗り降りする時に何かとアラームが鳴る。シートベルトの着用前など。少しうるさく感じるが、役に立つ部分も確かにある。サイドウインドウを開けたままクルマを降りようとすると、ドライバーに教えてくれるから。
筆者はカメラマンで、撮影で窓を開けることが多いのだ。そして、ステアリングホイールのOKボタンを1度押すだけで、自動ですべての窓を閉じてくれる。これはとても便利な機能だ。