【長所を伸ばし100kg減】アルファ・ロメオ・ジュリアGTAmへ試乗 公道でも気持イイ 後編
公開 : 2021.08.17 19:05
500台限定でアルファ・ロメオに復活したGTAの3文字。最高のスーパーサルーンが、更にスーパーに仕立てられていると、英国編集部は絶賛します。
扱いやすい駆動系に、しなやかな足回り
アルファ・ロメオ・ジュリアGTAmに備わる6点ハーネスは、英国や日本の公道で効果を発揮することはほぼない。サーキットなら、シートと身体が一体になることは良い。でも駐車券を取る時に、上半身を乗り出すことはできない。
慣性リールの付いた、通常のシートベルトも残されている。ハーネスはシートの穴を貫通していて、上に座るとお尻が痛い。シートの横に上手に避けてから座るのが良いだろう。
ステアリングホイールのスタートボタンを押すと、アルファ・ロメオは息を呑むほど威勢のいいアイドリングを始める。ドライブモードのスイッチは、デフォルトで「n」が表示される。アダプティブ・ダンパーは、3段階で最もソフトな設定へ入る。
ステアリングホイールの操舵感は軽い。ロックトゥロックは2回転と、かなりクイック。反応は正確だが扱いやすい。エンジンは優しい発進を許してくれる。
トランスミッションはトルクコンバーター式の8速AT。市街地をゆっくり流すのも、とても簡単だ。カーボンセラミック・ブレーキの低速域での効きの悪さが、唯一の弱点かもしれない。
ホイールは20インチで、タイヤはフロントが265/30、リアが285/30というサイズのミシュラン・パイロットスポーツ・カップ2。かなり肉薄なプロファイルながら、荒れた路面のエッジをサスペンションが柔らかくいなしてくれる。
ここまで本気仕様の高性能モデルで、これほどのしなやかさを備えているモデルは稀有。単調な高速道路でも、リラックスして運転できる。
求めるものがすべて備わっている
レシオが豊富な8速ATのおかげで、130km/h前後でのクルージング時のエンジンは1800rpm。サーキットへ向かう途中の道路でも、負けないほど気持ち良い時間を過ごせそうだ。
標準のジュリア・クアドリフォリオも、素晴らしいスポーツカーではある。だがアルファ・ロメオは、さらに素晴らしいモデルへと昇華させた。
エンジンは従来以上にスムーズでレスポンシブ。8速ATの低めの段数はショートレシオで、高めの段数は比較的ロング。2速で引っ張ると、95km/hには届かない。一般道では、2速から5速を活用して運転できる。
ステアリングホイールに取り付けられた大きなシフトパドルは、いつでも指の届く位置にあり、筆者のお気に入り。デュアルクラッチATほど即時的な変速ではないものの、充分に反応は良い。
最初にブレーキを強めに使っておけば、市街地の速度域でもたくましい制動力が得られる。感触が良いとはいえない。しかし、スーパーサルーンとして大容量のブレーキは不可欠でもある。
ジュリアGTAmには、求めるものがすべて備わっている。鮮烈に反応するフロントタイヤに、限りなく小さいボディロール、路面の凹凸を吸収する不思議なしなやかさ。アダプティブダンパーの中間の設定は、英国郊外の道に最適だと感じた。
クラッチベースのトルクベクタリング機能を備えるリミテッドスリップ・デフも、電子制御のLSDとしてベスト。コーナーへ進入する時点ではオープンで、出口付近で加速を試みると、ロックし強力な加速を後押ししてくれる。