【栄枯盛衰】ひっそりと終焉ホンダ・オデッセイ なぜか最近売れているワケ

公開 : 2021.08.14 05:45  更新 : 2021.10.13 12:01

盛者必衰 ニーズの変化に取り残された

なぜオデッセイは人気が落ちてしまったのか。

それは「ミニバン」というジャンル内における人気パッケージングの変化に尽きる。

トヨタ・アルファード
トヨタアルファード    トヨタ

ミニバン黎明期といえる2000年代前半までは、背の高いモデルに一定の重要があった。

オデッセイのほか、トヨタ「イプサム」や「ガイア」、「ウイッシュ」、ホンダ「ストリーム」など後席にもヒンジドアを組み合わせた背の低いミニバンが存在し、大きなマーケットを作っていた。

しかしその後、ボックス型と呼ばれる、トヨタ「アルファード」や日産セレナ」、ホンダ「ステップワゴン」のような箱型ミニバンが主流となり、室内が狭い(現実は比較対象によっては必ずしもそうではないが、そういうイメージが付いてしまった)タイプは淘汰されてしまったのだ。

オデッセイは、2013年に登場した5代目では従来よりも背を高くし、スライドドアを組み合わせるなどパッケージングの刷新を図ったものの、時代の流れには逆らえなかったということである。

時代の先駆けとしてわが世の春を謳歌していたオデッセイだが、時が流れると独自のパッケージングゆえに時代に対応できなかったといっていいだろう。

まさに盛者必衰だ。

マイチェン効果? 駆け込み需要が発生

ところで、生産終了のニュースが自動車メディアで報じられた後となる7月の販売データで、気が付けば人気が対前年同月比で驚異的な高まりをみせている理由はどこにあるのだろうか?

それは、マイナーチェンジの効果である。

ホンダ・オデッセイ
ホンダ・オデッセイ    ホンダ

実は今年2月以降、オデッセイの販売は対前年同月比200%超え(6月のみわずかに届かない197.1%だったが販売台数は3474台とかなり多い)が続いていて、5月には対前年同月比345%という数字もマーク。

現在同車の納期は2か月ほどだが、昨年11月に大規模マイナーチェンジを実施し発売してからオーダーを受けた車両が本格的にユーザーの手に渡り始めたのが今年2月以降。

そこから大きく台数を増やしているという理屈だ。

では、この先販売が終了するまでオデッセイの売れ行きはどうなるのか。

おそらく、大きく減ることはないだろう。

2つのパターン エスティマとの共通点も

なぜなら2つのパターンの層の購入が考えられるからだ。

1つは「いつか買おうと思っていた」という人たち。

トヨタ・エスティマ
トヨタ・エスティマ    トヨタ

独自のパッケージングでミニバンにしては孤高のドライバビリティに優れる3列シーターを求める層が、オデッセイが無くなると知り、最後のオデッセイを購入することになるだろう。

もう1つは「今もオデッセイに乗っていて、オデッセイが無くなる前に新車に乗り換えておこう」という熱烈なファン層。

オデッセイに代わるクルマが見当たらないから、買えるうちに買っておこうというパターンだ。

実はこのパターンは、トヨタ「エスティマ」が終了する際に多く発生した。

従来型エスティマから最後のエスティマに買い替える人が少なくなかったのだ。

オデッセイは、2021年内に生産を終了するというから、納期を考えると10月頃までの契約が購入できるかどうかの1つの目安となるだろう。

筆者が考えるオデッセイの魅力は、他のミニバンでは味わえない走りの楽しさである。

もし、そんなミニバンを新車で買おうと思っているのなら、決断に残された時間は多くない。

ちなみに、オデッセイが終了する理由についてホンダからの正式なコメントはないが、販売台数的な話ではなく生産している狭山工場の閉鎖に伴うものと思われる。

記事に関わった人々

  • 工藤貴宏

    Takahiro Kudo

    1976年生まれ。保育園に入る頃にはクルマが好きで、小学生で自動車雑誌を読み始める。大学の時のアルバイトをきっかけに自動車雑誌編集者となり、気が付けばフリーランスの自動車ライターに。はじめて買ったクルマはS13型のシルビア、もちろんターボでMT。妻に内緒でスポーツカーを購入する前科2犯。やっぱりバレてそのたびに反省するものの、反省が長く続かないのが悩み。

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