ポルシェ911タルガ4S
公開 : 2014.04.03 22:50 更新 : 2017.05.29 19:05
■どんなクルマ?
フレッシュ・エアを導く新しいオープン・ポルシェがこの911タルガだ。原型となった1967年製のタルガは、当時の厳しくなってきたアメリカのコンバーチブルへの安全基準への対応策として登場したモデルだ。それはロールオーバー・フープと、折りたたみ可能なパノラミック・リア・ウインドーを持っていた。
新しい911タルガは、2つの可動パーツでルーフが構成される。コンバーチブル・トップと、リア・ウインドーだ。そのコンバーチブル・トップがリア・シートの後ろに電動でしまい込まれるメカニズムだ。ただし、リア・ウインドーはオリジナルのタルガとは異なり、折りたたむことはできない。
実質的には、そのベースはカブリオレと共有する。ただし、911タルガの特徴として、4WDモデルにのみ設定されることとなる。
エントリー・モデルは、350psの3.4ℓフラット6に7速マニュアルの組み合わせ。今回試乗したのは、上位モデルにあたる400psの3.8ℓフラット6を搭載した911カレラ4Sで、オプションのPDKも備えていた。価格は£98,704(1,700万円)となる。
■どんな感じ?
ポルシェは、タルガのルーフを本当にスペクタクルだと言う。確かに、モーター、ピポット、支柱、パネル、そしてその装置はまるでマジックのように開閉する。その独創性に関してはポルシェは称賛されるべきだ。しかし、その開閉プロセスには、ほぼ20秒の時間がかかる。さすがにこの時間では、交差点での信号待ちに試してみる勇気は置きないのも事実だ。また、このルーフは徐行のようなスピードであっても、動いている間は動作しないことになっている。
しかし、そのアルカンタラで覆われたタルガ・バーに囲まれたインテリアの雰囲気は非常に良い。また、カブリオレほど風の巻き込みがないのも魅力的だ。もちろん、ルーフを閉めれば、その静寂性は文句のつけようがない。
ドライビング・フィーリングは、通常の911カレラ4Sと劇的に変わることはない。カブリオレがクーペ・モデルに対して110kgほど重たいのに対し、このタルガの重量増は40kgだ。
ちなみに、ポルシェは、このタルガに関して、前後のスプリングのリバウンド・バッファを上げるなどしてサスペンションをリチューンしている。それは、クルマをダイナミックに、そしてシャープにするというよりも、快適性を向上させるために行われている。
■「買い」か?
オープン・エアの911を望むのであれば、検討の余地がある。よりオープン・エアを味わえるカブリオレも用意されているが、個人的にはこのレベルのオープンで充分だと思う。もちろん、本当のパフォーマンスを望むのであれば、クーペ・モデルがおすすめだ。やはり、パフォーマンスと言う面では、タルガはカブリオレ同様にハンディキャップを負うこととなる。
ボディの剛性に関しては問題はない。しかし、若干の重量増と、柔らかくセッティングされたシャシーは、クーペよりも “走り” の点では劣っているのだ。しかし、911自体の実力が高いだけに、それを問題視する人はあまりいないとも思われるが。
(ニック・カケット)
ポルシェ911タルガ4S
価格 | £98,704(1,700万円) |
最高速度 | 296km/h |
0-100km/h加速 | 4.6秒 |
燃費 | 10.9km/ℓ |
CO2排出量 | 214g/km |
乾燥重量 | 1575kg |
エンジン | 水平対向6気筒3800cc |
最高出力 | 400ps/7400rpm |
最大トルク | 44.8kg-m/5600rpm |
ギアボックス | 7速デュアル・クラッチ |
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