三菱アウトランダーPHEV
公開 : 2014.04.03 22:30 更新 : 2017.05.29 19:26
■どんなクルマ?
52.4km/ℓの燃費を誇る三菱アウトランダーPHEV。その数字は俄に信じられないが、NEDCのテストでもその数値をマークしたのだ。
その80%が僅か30分でチャージされるだけでなく、バッテリーだけで52kmを走行することが可能な5シーターのハイブリッド4×4モデルは、2.2ℓのディーゼル・ユニットを搭載したアウトランダーよりも経済的なクルマだ。
搭載されるパワー・ユニットは、118ps/4500rpm、19.0kg-m/4500rpmのパワー、トルクを持つ2.0ℓのガソリン・エンジンと、フロントに82ps、14.0kg-mの、リアに82ps、19.9kg-mのモーターという組み合わせ。CO2排出量は44g/kmと極めて小さい値だ。英国ではそのためロンドン渋滞税が免除される。
一般的なアウトランダーとの違いは、搭載するバッテリーのため14ℓほどブート・スペースが縮小され、リアのレッグ・ルームが僅かに小さくなるほか、ボディ重量がやや重たくなっているだけだ。
■どんな感じ?
乗り込んで最初に感じるのはキャビンのクオリティだ。暗いイメージのするインテリアだ。ただ、それでも三菱のインテリア・クオリティは進歩している。また、取り付けられるダイヤルとグラフィックスはEVそのものといった感じだ。
バッテリーが充分に充電されていれば、アウトランダーは静かに走りだす。その静かさは不気味なぐらいだ。その駆動は、前後共に82psのモーターによってなされる。
パフォーマンスは0-100km/h加速が11.0秒という値だ。112km/hを超えるとアシストなしのエンジンによる駆動に代わる。ハイブリッドEVの典型的な方式だが、印象的に精密なドライブが確保されている。また、エンジン自体のノイズも静かで、風切音もほとんど聞こえないほど、ノイズ対策はばっちりとされている。
12kWhのリチウム・イオン電池の残量が少なくなった時には、エンジンが駆動されることになるが、そのエンジン・スタートを感じることはできない。もちろん、その継ぎ目もない。
ドライバーは、バッテリー管理についていくつかのレベルが選択できる。例えば、ガソリン・エンジンのパワーの70%を充電に和増すことも可能だ。また、エネルギー回生のレベルも5段階に選択できる。
乗り心地に関しては合格点が与えられる。テスト・ルートには、深刻な凹凸のある道が選ばれたが、あらゆるダンプを吸収してくれた。ステアリングは、それほど地面の感触を伝えてくれるものではなかったが、信頼できるものであり、ボディ・コントロールもこのサイズのクルマとしては実に適切だった。
三菱のS-AWCシステムは、三菱EVOのために最初に開発されたもので、パワー・ディストリビューション、ヨー、スタビリティ、そしてABSを総合的にコントロールするもの。重量配分は、フロントが55%、リアが45%と優れた割合をとるが、大きなバッテリー・パックを搭載する重い大きなクルマであることにはかわりない。しかし、このS-AWCシステムが、うまくコントロールしていると感じられた。多くのユーザーにとって、その能力は期待以上のものであるに違いない。
■「買い」か?
政府の補助金、£5,000(86万円)を引くと、アウトランダーPHEVは£28,249(488万円)で手に入る。ハイブリッド・ディーゼルとほとんど価格に差がないのは非常に嬉しいことだ。
このアウトランダーPHEVのライバルとなる本格的4×4モデルのPEHVは、現時点では外には存在していない。
(ジム・ホルダー)
三菱アウトランダーPHEV
価格 | £28,249(488万円) |
最高速度 | 170km/h |
0-100km/h加速 | 11.0秒 |
燃費 | 52.4km/ℓ |
CO2排出量 | 44g/km |
乾燥重量 | 1810kg |
エンジン | 直列4気筒1988cc + 2モーター |
最高出力 | 118ps/4500rpm + 82ps + 82ps |
最大トルク | 19.0kg-m/4500rpm + 14.0kg-m + 19.9kg-m |
ギアボックス | ダイレクト・ドライブ |