【ゲイドンの救世主】ジャガーXK8、XKRとXKR-R 3台を比較 誕生25周年のX100系 後編
公開 : 2021.09.05 17:45
誕生から25周年を迎えた、コードネームX100として開発されたXK。誕生25周年を記念し、英国編集部がXK8とXKR、XKR-Rの3台を比較試乗しました。
もくじ
ーボディの内側は大幅にアップデート
ーサーキットへ焦点を当てたXKR-Rプロト
ー禁断の果実を味わうような興奮はない
ー快適性を正しく捉えたジャガーXK8
ージャガーXK8、XKRとXKR-R 3台のスペック
ボディの内側は大幅にアップデート
2002年のフェイスリフトで、ジャガーXKはエンジンも改良を受けている。初期では3996ccだったV8エンジンは、200cc排気量が増加。可変カムシャフトが採用され、最高出力はXK8で3.5%向上している。XKRでは8.1%も増え、405psを発揮した。
さらにこのアップデートで、最大トルクも増やされている。アクセルペダルを踏み込めば、ぐっと身に応えるパンチ力を獲得している。
ソフトトップなら、ルーフを開いて強烈な加速を直接肌で感じ取れる。耳でも楽しめる。XKRに積まれるイートン社製のスーパーチャージャーは、高音の唸りを響かせる。4本出しのマフラーから放たれる、V8エンジンのノイズを打ち消すように。
優雅さが漂うインテリアは、初期のXK8からの継承。しかし、ウォールナット・パネルがあしらわれていた場所は、XKRではカーボンファイバーが彩っている。クラシカルなものからモダンなものへ、高級感も進化したように見える。
デザインが新しくなったシートは、サポート性に優れ素晴らしい。オプションだったインフォテインメント・システムは、今回の例には装備されていない。丸いメーターが並んだ品のあるダッシュボード中央のモニターは、少し収まりが悪いと思う。
センターコンソールのシフトレバーには、おなじみのジャガー式Jゲートが切ってある。その下に隠れているのは、ZF社製の新しい6速ATだ。ロングレシオを得ただけでなく、停止間際に発生していた不快なシフトノイズも消えている。
サーキットへ焦点を当てたXKR-Rプロト
動的性能や乗り心地、実用性やスタイリングなど、高い評価を得続けたX100。しかし、同時期のポルシェ911やBMW 840Ci、マセラティ3200GTといったスポーツモデルと比較した時、ドライバーとの一体感で及ばないことが弱みの1つだった。
その事実は、ジャガーの技術者も理解していたのだろう。2000年、サーキットへ焦点を当てたパフォーマンス重視のXKRの開発がスタートする。次期モデルを前提とした、ショーケースとして。それが、XKR-Rと呼ばれたプロトタイプだ。
自動車メーカーの多くは、そんな刺激的なコンセプトを抱いても夢物語で終わらせてしまう。せいぜい、量産モデルのプロモーションで引用する程度だ。しかしジャガーの考えは違っていた。
そのままサーキット走行も可能なX100の開発を、ジャガーのスペシャル・ビークル・オペレーションズ(SVO)へ依頼。今でも走れる状態で、ジャガー・ダイムラー・ヘリテージトラストが維持している。
ベースとなったのは、フェイスリフトを受ける前のXKR。現在よりスポーツモデル寄りの存在だったSVOの手で、モノコックはシーム溶接され剛性が高められた。
ロールケージが追加され、全身を包むレカロ社製のバケットシート2脚と、4点ハーネスをセット。リアシートは降ろされ、ヘルメットを収容するくぼみが2つえぐられている。
エンジンは、初期のXKRに搭載されていたスーパーチャージド4.0L XJ-V8ユニットを、SVOが軽くチューニング。最高出力は375psから405psへとパワーアップしている。