【緊急車両への衝突事故】テスラ 米当局が運転支援システムの調査開始 75万台以上が対象
公開 : 2021.08.17 18:05 更新 : 2021.08.18 06:56
日没後に相次いで発生した事故を受けて、テスラの「オートパイロット」について米当局が大規模な調査を開始。
日没後のシステム動作に不備?
米国政府は、テスラ車と停車中の緊急車両が衝突する事故が相次いでいることを受けて、同社の先進運転支援システム「オートパイロット」について、正式な調査を開始した。
米国道路交通安全局(NHTSA)によると、2018年以降運転支援システムの使用中に同様の事故が11件発生し、計17人が負傷、1人が死亡したとのこと。
今回の調査では、モデルS、モデルX、モデル3、モデルYなど、2014年以降に米国で販売されたほぼすべてのテスラ車(76万5000台)が対象となっている。
同局によると、11件の事故はいずれも停止中の緊急車両(災害や事故の初期対応に当たる警察・消防・救急など)にテスラ車が衝突するというもので、そのほとんどは日没後に発生しているという。現場には緊急車両のライト、照明付き道路標識板、トラフィックコーンなどが置かれ、通行車両に注意を促していたようだ。
事故を起こしたテスラ車は、現場に近づいた時、先進運転支援システム(ADAS)の「オートパイロット」または「トラフィック・アウェア・クルーズ・コントロール(TACC)」のいずれかを使用していた。しかし、現場に停止していた緊急車両を避けることができず、衝突したという。
オートパイロットはレベル2のADASであり、ステアリングと速度を制御することができるが、NHTSAは声明の中で、ドライバーには「物体および事象の検知と対応の主な責任」があると指摘している。
今回の調査では、「オートパイロット作動時にドライバーが運転に集中しているかどうかを監視、支援、強制するための技術と方法を評価する」という。また、事故の原因となる状況についても調査が行われる。
NHTSAはテスラに対し、オートパイロット作動時にドライバーが注意を払っているかどうかを確認するため、より優れたシステムを導入するよう要求している。
オートパイロットに関しては、これまでにも米国の国家運輸安全委員会(NTSB)による調査が行われている。
NTSBは昨年発表した事故に関する報告書の中で、テスラがシステムの悪用(ドライバーが注意を払っているかのようにごまかすなど)を防ぐために十分な努力をしなかったことに加えて、ADASおよび関連技術に対するNHTSAの対応も不十分であったことがリスクの見落としにつながったと指摘している。