【価値を下げるかも】クラシックカーの電動化 本当に必要? ビジネスの将来性は
公開 : 2021.08.18 18:25
電動化で価値は上がる?下がる?
クラシックカーを電動化することに価値はあるのか。
少なくとも今のところ、短期的には「ノー」だ。1990年代のフェラーリ・テスタロッサからエンジンを取り外し、事故で損傷したテスラの中古バッテリーと交換した場合(これは多くの改造で行われている)、完成したクルマは「フェラーリのスーツを着たテスラ」と感じる人が多いのではないだろうか。
また、ヒストリックカーやビンテージカーとして認定されているモデルでも、電動化によりその認定を取り消すことになる。欧州のヒストリックカー協会であるFIVA(国際クラシックカー連盟)の会長、ラース・ゲニルドは、この点について断固とした態度で臨んだ。
「FIVAにとってヒストリックカーとは、楽をするためのものではなく、文化遺産を守り、保存し、普及させるためのものなのです。ヒストリックカーのドライブトレイン全体を変更すると、その車両はトリノ憲章(Charter of Turin)とテクニカルコードに適合せず、ヒストリックカーとしてのステータスを失うことになります」
FIVAは、将来の所有者がクルマを元の状態に戻すことができるように、改造が可逆的であることが重要であるとしている。
HAGI(ヒストリック・オートモービル・グループ・インターナショナル)のディートリッヒ・ハトラパ会長は、次のように述べている。
「一般的に言って、EVへの改造は、大掛かりな工事の痕跡がなく、すべてのオリジナルパーツが残っている状態でオリジナルに戻すことができなければ、価値はやや下がります。クラシックなオリジナルとは全く異なるものです」
一方で、オークションハウスRMサザビーズの欧州部門の責任者であるピーター・ヘインズは、次のように話している。
「現在、電動化されたクラシックカーの中古市場は未知の領域であり、価値や需要を判断できるようなデータはありません。クラシックカーの電動化は、ニッチな市場に対する価値あるものですが、この市場の専門家が新たに改造したクルマを生産していることから、需要があるように思えます」
アストン・ワークショップのカミングスは、電動化されたクラシックカーの希少性は、コレクターにとって価値のあるものになるはずだと語っている。
しかし、改造されたクラシックカーが売りに出されたり、オークションに登場したりするまでは、価値に実際にどのような影響があるのか、また改造にかかる高額な費用が適切だったかどうかを判断することは困難だ。