【泣き所はタイミングチェーン】アウディS4(B6/B7) 英国版中古車ガイド NA V8の喜び
公開 : 2021.08.26 08:25
MTならエンジン・サウンドも意のまま
英国の中古車市場でB6とB7のS4を検索してみると、ATの方が数は多い様子。しかしドライバーとの一体感を求めるなら、MTを優先的に探したいところ。エンジンのサウンドも、より意のままに楽しめる。
ちなみに英国でも、古いクルマへ掛かる税金は高くなる。2006年3月以降の登録のS4なら、340ポンド(5万2000円)の道路税が求められる。それ以前のS4では、600ポンド(9万2000円)へ増額される。
B7のS4では、ボーズ社製のオーディオが載っている。彫りの深いシートはレカロ社製だ。英国ではサルーンが多く、アバントはかなり珍しい。楽しさならカブリオレが1番だろう。
まだクラシックカーとして価値が上昇する前にある。心が惹かれたのなら、行動へ移してみてはいかがだろう。
専門家の意見を聞いてみる
ピーター・マセジカ:アウディVW スペシャリスト・センター社代表
「B6とB7に搭載されるV8エンジンは、できもよくサウンドも素晴らしい。さらに多くのパワーも引き出せます。B7のRS4では、S4の4.2L V8エンジンをチューニングし搭載していますが、一層エキサイティングです。RS4の方が遥かに高価ですが」
「S4の最大の問題は、タイミングチェーン。プラスティック製のテンショナーとガイドです。エンジンの熱の影響を受け、割れてしまうんです。弊社には、新しいテンショナーキットで交換されたS4もあります。RS4はスチール製なので、心配は不要でしょう」
「もう1つの弱点は、ロッカーカバーのガスケット。時間経過でもろくなり、エンジンオイルが漏れてきます。交換は面倒でも、症状は簡単に発見できると思います」
購入時に気をつけたいポイント
エンジン
冷間時にエンジンを始動し、タイミングチェーンから振動するような音が出ていないか確認する。定期的なオイル交換が施されてきたか、メンテナンスの履歴も確かめたい。
PCVバルブの不具合やシリンダー内の傷が原因で、オイルレベルが低下する可能性がある。エンジンオイルの量も確かめたい。点火不良は、コイルパックの寿命だろう。
パワーステアリング
パワーステアリング・ポンプへつながるホースは、エンジンの近くを経由していて劣化しやすい。フルード漏れがないか確かめたい。フルード不足になるとポンプが壊れてしまう。ポンプの場所はエンジンの後ろ側で、交換は高く付く。
トランスミッション
MTでもATでも、すべてのギアを選択し、滑らかに変速できるか確かめる。MTの場合、クラッチは16万kmくらい使える。フライホイールやトルクコンバーターの不調も、起きなくはないようだ。
ATフルードは、交換がまだなら早急に施したい。リアデフのフルード交換も同時が良いだろう。
サスペンションとブレーキ
ブレーキディスクとパッドの厚みを確かめる。ハンドブレーキの効きも確認する。サスペンションは、荒れた路面で振動音が出ないか聞き耳を立てる。
シャシーとボディ
前後のホイールアーチ付近が錆びる場合がある。塗装が気泡のように膨らんでいないか確認する。修復歴がある場合、その仕上がり状態も確かめたい。
インテリア
エアコンのコンデンサーが不調になることがある。修理費は安くない。グローブボックスのヒンジが壊れていないか確かめる。ドアハンドルやセンターコンソールのボタンは、シートのサイドサポートと同様に表面が摩耗しがち。