【超高級オーダーメイド】ベントレー・バカラル 1台目が完成 美しきバルケッタ

公開 : 2021.08.20 18:25

量産車では実現できないデザイン

インテリアデザインのチーフ、ダレン・デイによると、インテリアは1929年のバーキン・ブロワー・レーシングカーの流れを汲むという。

「わたし達はシートの後ろ側も含めて、包まれるようなコクピットを重視してデザインを進めました。もちろん、スピーカーの細かな装飾も含めて、ゼロからデザインしています。量産車では実現できないデザインを見たいと考えました」

ベントレー・マリナー・バカラル
ベントレー・マリナー・バカラル

バカラルのオーナーは、シートの後ろにピッタリと収まる、特注のラゲッジセットをオーダーすることも可能だ。

ベントレーの現行モデルから流用される部分は、キーレスエントリー機能に伴うドアハンドルと、エアバック機能を実装するステアリングホイールだけだという。

インテリアでは、ダッシュボードやセンターコンソールのボタン類に既視感を感じるが、バカラルのためにまったく新しい素材で仕上げられている。

ケンブリッジで自然に倒れた樹齢5500年の木材や、スコットランド国境付近で取られたウールやツイードなどが用いられている。メーターや時計のパネルはダークブルーの盤面が埋められ、車名の由来であるメキシコのバカラル湖をイメージさせる。

ベントレーが誇るW12エンジン搭載

ベントレーのデザインディレクター、ステファン・シエラフはこう振り返る。

「バカラルの開発を始めた時は、まだEXP 100 GTコンセプトに取り組んでいました。異なるものを同時に取り組むことはいい経験になります」

ベントレー・マリナー・バカラル
ベントレー・マリナー・バカラル

「クロームメッキや、古典的な素材はほとんど用いていません。ベントレーの可能性を現代的に解釈するうえで、飛躍といえるデザインだと思います」

バカラルに搭載されるエンジンは、ベントレー自慢の6.0L W12気筒エンジンで、最高出力は659ps。標準的なW12エンジンより41psほどパワーアップしている。

最大トルクも91.6kg-mにまで引き上げられた。0-100km/h加速は3.5秒でこなし、最高速度は320km/h以上となる。

マリナー部門の出発地点

バカラルには、マリナー部門の本格始動という意味も込められている。マリナーを率いるティム・ハニングは、「お客様に満足していただく、最大の未開拓領域の1つです」と語る。

つまり、マリナーの3本柱として、マリナー・クラシック、マリナー・コレクションズ、マリナー・コーチビルドがあるのだ。

ベントレー・マリナー・バカラル
ベントレー・マリナー・バカラル

マリナー・クラシックは、1939年製ベントレー・コーニッシュの再生と、バーキン・ブロワーの後継シリーズなどで、2019年に活動をスタートさせている。マリナー・コレクションズは、最近発表となった特注のコンチネンタルGTマリナー・コンバーチブルなどが対象。

そして、マリナー・コーチビルドは、独自モデルのバカラルを生み出した。

「コーチビルド・モデルの開発を始める必要がありました」とハニング。

「マリナー部門の本質です。バカラルとブロワーは、いわば、わたし達の出発地点です」

「このようなクルマの需要はかなり高いのです。多くの人々から、なぜもっと早くこのようなクルマを手がけなかったのか、と聞かれるほどです」

「バカラルには、ドライビングの至高感があります。そこへ、究極の快適さも与えることができます。下品にはしたくありません。最速のクルマというわけでもありません」

「量産モデルより遥かに機敏なバカラルを一般道で目撃できるでしょう。バカラルは、今後も続くプロジェクトで最初の1台です。現代のコーチビルドのスピード感は増していきます。作り出す台数によって、内容も異なります」

「お客様が1台か2台のクルマをご希望されれば、価格は高くなります。ですが、お請けできます。すべてを手作りで仕上げる場合、多くても10台や12台が限界でもあります。バカラルのように」

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