【トヨタの目論見どおり?】ヴェルファイアがアルファードに完敗したワケ

公開 : 2021.08.26 05:45  更新 : 2021.10.22 10:07

集約すすめるトヨタの狙いどおりに?

アルファードは、マイナーチェンジによるフロントマスクの変更を切っ掛けに、トヨタの全店で全車を使う販売体制への移行、企業のトップや政治家の愛用、売却額の上昇などによって人気を高めた。

複数の事象が重なった相乗効果でもある。この影響で姉妹車のヴェルファイアは売れ行きを急減させた。

ヴェルファイアは実質1グレードのみに
ヴェルファイアは実質1グレードのみに    トヨタ

この販売動向を受けて、2021年4月のマイナーチェンジでは、ヴェルファイアのグレードが大幅に減らされた。

今ではアルファードの特別仕様車と同じ仕様しか選べない。2.5Lノーマルエンジンとハイブリッドを各1グレードのみだ。

その結果、直近の2021年7月におけるヴェルファイアの登録台数は410台であった。アルファードの8964台に比べると約5%だ。

これはトヨタにとっては狙いどおりだ。

今後は電動化を含めた環境対応、自動運転など、先進技術への投資も増える。

そうなると各商品の開発費用は抑えねばならない。

そこでマークX、プレミオ&アリオン、ポルテ&スペイドなどは廃止され、全店が全車を扱う体制に変更することで姉妹車も終了する。

この戦略の典型的な成功例が、アルファードの好調とヴェルファイアの不振といえるだろう。今後、ヴェルファイアは廃止の方向に進む。

記事に関わった人々

  • 渡辺陽一郎

    Yoichiro Watanabe

    1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年間務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様にケガをさせない、損をさせないこと」を重視して、ユーザーの立場から、問題提起のある執筆を心掛けている。買い得グレードを見極める執筆も多く、吉野屋などに入った時も、どのセットメニューが割安か、無意識に計算してしまう。

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