【コンセプト第二弾】アウディ「グランド・スフィア」 9月2日公開予定 A8の後継モデル
公開 : 2021.08.25 18:25
開放感のあるインテリア
リヒテは、プロジェクト・アルテミスで自動運転に注力するためには、デザインプロセスを抜本的に変える必要があると説明している。インテリアデザインに重点を置き、それに合わせてエクステリアを造形していくのだ。
このアプローチの結果は、グランド・スフィアに現れる。アウディは、グランドツアラーのような流麗なシルエットでありながら、SUVのように大きなボディセクションをもつクルマのプレビュー画像を公開している。
リヒテは、このコンセプトの設計作業を3年前に開始したことを明らかにした。彼は次のように語っている。
「長距離の移動を想定したユースケースからスタートし、Dセグメントのクルマとしては革命的なレイアウトを実現しました。インテリアから設計したため、広大な室内空間を実現しました」
「グランド・スフィアは、外から見るとほとんどモノボックスのような大きさですが、モノトーンのボディはバンのようなもので、セクシーではありません。そこで、わたしはいくつかのスマートなアイデアを考えました。それは、わたしにとって誇りとなるものです」
「グランド・スフィアは、クラシックなグランドツアラーのように見えるところもありますが、よく見ると、広くて低いフロントガラスがあり、最大限の室内空間を作り出しています」
「ドアを開けると、そこには巨大な空間が広がっています。まるで30平米のアパートからロフトに移ったかのようです」
グランド・スフィアは、次世代のアウディのデザイン哲学を示すものでもある。このデザイン哲学では、スタイリングが単純化されることもあり、ラインの使用が大幅に削減される。
このコンセプトは、最終的な市販モデルの「息を呑むようなプロポーション」を強調するものだが、デザイン上の多くの特徴を残している。筋肉質なラインや、アウディの特徴であるシングルフレームグリルなどだ。
ただし、シングルフレームグリルは、従来のエンジン冷却用ではなく、ADASセンサー用のガラス製ハウジングを囲うものになる。
ファーストクラスのデザイン
リヒテは、自動運転時に乗員がリラックスできることに重点を置き、「新しい居住空間」を提供するためにインテリアをデザインしたと述べている。最大60度のリクライニングが可能なシート(これまでの市販車のシートの最大値を上回るという)や、ドリンクバーを内蔵したフロント乗員用の大型センターコンソールを備えている。
「A8やSクラスでは、2列目にビジネスクラスのシートがあり、1列目にはドライバーが座っています。しかし、このクルマではその逆で、クルマがドライバーなのです」
「後ろにはラウンジがあって、最前列がビジネスクラスなんです。ただし、もはやビジネスクラスではなく、ファーストクラスとなっています」
グランド・スフィアは、自動運転機能を中心に設計されているが、リヒテはドライバー重視の姿勢を貫くと主張した。
「このクルマはアウディであり、アウディは運転する喜びを提供しなければなりません」
このコンセプトではステアリングホイールを装備しているが、自動運転時にはダッシュボードに収納される。ダッシュボードは、物理的なボタンやスクリーンを一切排除した、斬新なデザインを採用している。
「わたし達はすでにスクリーンの先を考えています。このクルマには、もうディスプレイはありません。ダッシュボードはなく、巨大なオープンスペースがあり、プロジェクション・マッピングを採用しています」
「ドライビング・ポジションにディスプレイをどのように組合わせるかについて、いくつか素晴らしいアイデアを持っています」
「非常に優れたアプリケーションを用意しています。自動運転時にナビや映画を見るためのスクリーンが必要な場合は、すべてのコンテンツをこのアプリケーションに投影します」
グランド・スフィアのインテリアには、格納式のステアリングホイールや先鋭的なインターフェースなど、よりコンセプチュアルなデザイン案も見られる。しかし、リヒテは2024年に公開される市販モデルとの間には「大きなギャップはない」と主張している。