【エキサイティングな10年を予見】キアEV6 プロトタイプへ試乗 航続距離505km
公開 : 2021.09.03 08:25
最大トルクは61.5kg-m 航続距離は505km
試乗車はプロトタイプで部分的に偽装されていたが、それでも存在感は大きい。キアがデジタル・タイガーフェイスと呼ぶフロントマスクは、大胆で都会的。抑揚ある造形の中に、アクティブエアロも備える。
ドアハンドルは表面と一体化。平滑に整えられた面構成は、いかにも滑らかに空気を流しそうだ。テールゲートにはスポイラーが一体化され、テールライトがカーブを描く。
近年の純EVのトレンドに合わせて、EV6にもシングルモーターとツインモーターが用意される。それぞれ後輪駆動と四輪駆動を担い、モーターの出力にも数段階が設けられる。
英国に入ってくるEV6の場合、バッテリー容量は77.4kWhの1択。エントリーグレードの後輪駆動、229psの仕様なら527kmの航続距離が得られるという。
試乗車はGTラインで、ツインモニターの四輪駆動。総合で最高出力325psを発揮し、当面のトップグレードになる。2022年には、パワフルなEV6 GTが追加される見込み。
実際に運転させてもらったが、325psでも力不足はまったく感じられなかった。最大トルクは61.5kg-mもあり、純EVに期待するとおり滑らかで静かな加速を生んでくれる。0-100km/h加速は、5.2秒がうたわれる。
航続距離は505km。充電性能をフルに発揮すれば、最短18分で10%の残量から80%まで充電可能だ。
車重は2015kgあるが、ステアリングは心地良いダイレクトさとフィードバックを得ている。四輪駆動だがリアタイヤ寄りの駆動特性を活かし、コーナリングも意欲的。回生ブレーキの効きの強さは、ステアリングホイールに付くパドルで調整できる。
10年での大進歩を示すEV6
アダプティブダンパーはまだ調整段階にあり、確かにボディ後半の落ち着きが足りなく感じられた。サスペンションを引き締め、ステアリングのレスポンスを高める、3段階のドライブモードも備わる。
スポーツ・モードでは、EV6はかなり活発な走りを披露する。現実的なクロスオーバーの実用性に、少しのエモーションやドライビングファンを添加したような雰囲気だった。
インテリアもキアとしては大進歩。デザイン自体も新鮮で、ダッシュボードには2面のモニターが一体になった大きなパネルが鎮座する。ドライバーを包むように、緩くカーブしている。
多機能な触覚センサーパネルに加えて、実際に押せるハードボタンも残された。キアによれば、タッチモニターにすべてを集約せず、エアコンなど主要な機能へのアクセス性に配慮したという。
車内空間は広々としていて、快適なシートを覆うのはリサイクル・ペットボトル素材によるファブリック。大柄なセンターコンソールには、いくつかの主要な操作系と小物入れが備わる。拡張現実機能に対応した、ヘッドアップディスプレイも付く。
ニッピングは、「EV6のゴールは大胆な主張を達成すること」。だという。具体的な評価は量産仕様まで待ちたいところだが、キアが目標達成に向けて、多大な努力を費やしたことは感じ取ることができた。
キアは、この10年で大進歩を遂げたことは間違いない。それを示すのがEV6だ。この仕上がりからして、キアのこれからの10年は一層エキサイティングなものになるかもしれない。
キアEV6 プロトタイプのスペック
英国価格:4万6745ポンド(701万円)
全長:4680mm
全幅:1880mm
全高:1550mm
最高速度:−
0-100km/h加速:5.2秒
航続距離:505km
電費:−
CO2排出量:−
車両重量:2015kg
パワートレイン:ツイン永久磁石同期モーター
バッテリー:77.4kWhリチウムイオン
最高出力:325ps
最大トルク:61.5kg-m
ギアボックス:シングルスピード