【ブルーの限定仕様】トヨタGRスープラ・ハラマ・レーストラック・エディションへ英国試乗

公開 : 2021.09.01 08:25

コーナリングを積極的に楽しめる喜び

アクセルレスポンスは、公道を重視してセットアップされたこの価格帯のスポーツカーとしては、期待通りに活発。0-100km/h加速4.3秒という俊足だから、不満はないはず。

滑りやすい路面なら、リアタイヤを充分にスライドさせながら、コーナリングを積極的に楽しめる。命や免許が危ぶまれる速度域でなくても、パフォーマンスにアクセスしやすく、操縦する喜びを味わえる。

トヨタGRスープラ・ハラマ・レーストラック・エディション(英国仕様)
トヨタGRスープラ・ハラマ・レーストラック・エディション(英国仕様)

一方で少し淡白で、感情的な高ぶりは小さい。日常的な使い勝手は高いが、更なる理屈抜きの興奮が備わっていれば、とも思う。

良くも悪くも、BMWらしさも強い。素晴らしいインフォテインメント・システム、iドライブも備わる。ダッシュボード周りの操作系も、すべてが望ましい場所に位置する。シフトレバーも、任意にギアを選びたい気持ちに良く応えてくれる。

長距離移動も快適な、クッション性の良いシートに、調整域の大きいステアリングホイールもある。サスペンションの能力も高く、英国の残念な路面でもいなしてくれる。

小回りが利き、市街地でも運転しやすい。狭い縦列駐車も助けてくれる、駐車アシストも付いている。

車内で気になる点といえば、若干タイトな空間と、良好とまではいえない運転席からの視界。これらを改めれば、トヨタの上級スポーツカーとして一層訴求力は高まるはず。

ダブルバブル・ルーフは象徴的なルックスを生んでいる。それを犠牲にして、トヨタがパノラミック・サンルーフを設定するとは考えにくい。もし付いていれば、車内は開放的なものになるだろう。

白いボディのフジ・スピードウェイ仕様も

基本的にシャシーは通常のGRスープラと同じ。衝撃吸収性と日常的な走行時の質感は秀逸ながら、攻め立てて走り込んでみると、限界領域の手前辺りで満足してしまう。

ヘアピンカーブへ突っ込み、タイトにコーナーを旋回し、出口めがけて自信を持って操れる。だが、見事に操ったぞ、という達成感には至らない。

トヨタGRスープラ・ハラマ・レーストラック・エディション(英国仕様)
トヨタGRスープラ・ハラマ・レーストラック・エディション(英国仕様)

ステアリングは非常に正確で、サスペンションはボディロールを見事に抑え込む。しかし、フロントタイヤから伝わる情報量はもっと多くて良い。

よりドライバー・フォーカスのライバルと対峙するなら、マニュアルモードでパドルを弾いた時の変速も、もっと鋭い方が良い。一層魅力は高まるはずだ。

ハラマ・レーストラックという名を冠するべき内容だろうか。そのサーキットとの結びつきは、さほど強いとは思えない。マットブラックのホイールも、好みが分かれるだろう。

ちなみに、ホワイトのボディにブラックのホイールで決めた、フジ・スピードウェイ・エディションも同時に用意された。こちらには、パワーの穏やかな2.0Lエンジンが積まれる。いずれにせよ、マーケティング的要素が強いことは確かだ。

そうはいっても、英国価格は通常のGRスープラと同じ。ボディカラーが気に入ったのなら、選ばない方がもったいない。正直なところ。

過去の例を見ても、限定モデルは残存価値で有利になりがち。ハラマ・レーストラック・エディションも、同じ傾向になるはず。チャンスがあるなら一考の価値はある。

トヨタGRスープラ・ハラマ・レーストラック・エディション(英国仕様)のスペック

英国価格:5万4365ポンド(815万円)
全長:4379mm
全幅:1854mm
全高:1292mm
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:4.3秒
燃費:12.2km/L
CO2排出量:188g/km
車両重量:1500kg
パワートレイン:直列6気筒2998ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:340ps/5000-6500rpm
最大トルク:51.0kg-m/1800-5000rpm
ギアボックス:8速オートマティック

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