【間違いなく素晴らしい】トヨタGRヤリス(最終回) 長期テスト 積極的に走りたい
公開 : 2021.09.11 09:45
信頼性や耐久性は間違いなくトヨタ
もしGRヤリスしか所有できないなら、サーキットパッケージを指定すると思う。一方で速く楽しく、扱いやすい普段使いのクルマを探していて、別にパフォーマンス・モデルを所有しているなら、標準のGRヤリスを選ぶだろう。
AUTOCARの英国読者には、サーキット・パッケージのアリナシで2台を購入。どちらが楽しいか比較しながら、1台を家族に貸しているという強者もいるようだ。
GRヤリスは実用的。リアシートには、大人が座れなくもない空間がある。荷室は狭いが、リアシートを分割して折り畳むことは可能。前輪を外せば、自転車を載せられる空間を作れる。
軽量化を追求したことは、薄いカーゴネットを通じて伝わってくる。しかし信頼性や耐久性は、間違いなくトヨタだ。
フロントタイヤは溝がなくなり、9600km時点の定期点検で交換した。厳しい性能テストやサーキット走行を重ねたから当然だ。少なくともブレーキやタイヤの消耗を心配せずに、サーキットの走行会を数日楽しめる耐久性はある。
消耗が少ないことは、適度なパワーとしなやかなサスペンション、軽量なボディを備えるクルマの強み。エンジンオイルの消費も殆どなかった。
インフォテインメント・システムも、特に不満は感じなかった。特にアドバンテージがあるシステムではないけれど。
積極的に運転して欲しいと訴えてくる
英国では、コンビニエンス・パッケージを選ぶことで、ヘッドアップディスプレイやナビ、高音質スピーカーなどが組める。だが、標準のユニットでもスマートフォンと連携できる。ロードノイズが大きいから、音楽を楽しめるタイプでもない。
燃費も優秀だった。アクセルペダルを踏み込んで、大人2名の乗車で0-100km/h加速5.2秒の実力を何度も試していたら、5.6km/Lを叩き出した時もあった。普通に運転していれば、11.3km/L前後まで簡単に伸びる。
ターボチャージャーを休ませながら6速に入れて巡航すれば、14.0km/Lを超えることもできるだろう。普通のヤリスに混ざって、静かに走ることもできる。といっても、GRヤリスに乗ったら大人しく運転したいとは思わないはず。
クルマが積極的に運転して欲しいと訴えてくる。ドライバーの気持ちも変えてくれる、熱々のホットハッチだった。
セカンドオピニオン
トルクベクタリング機能の備わる、上の価格帯に属するホットハッチとともに、GRヤリスをスキッドパンで走らせたことがる。三菱ランサー・エボリューションのようなオールドスクールな振る舞いを、とても好きに感じた。
スペック上は、最も過激なホモロゲーション・マシンではないかもしれない。しかしその実力は、そう表現するに相応しいほど高い。 Richard Lane(リチャード・レーン)