【ホットハッチxSUV】ヒュンダイ・コナNへ試乗 280psのFF i30 Nに近い動的性能
公開 : 2021.09.06 08:25
動的性能を引き上げた良い仕事
ヒュンダイのNであることを主張するように、水色のステッチが各所に施され、Nのロゴも要所要所に見える。レザー巻きのステアリングホイールも、特別感が強い。
大きなシフトパドルが付き、専用のドライブモードをすぐに呼び出せる、大きなNボタンが2つ並ぶ。NGSと記された赤いボタンは、可能な限り低いギアを20秒間保ち全力加速を楽しませてくれるモノ。盛大なエグゾーストノートも。子供受けは良いだろう。
ヒュンダイがユーザーとして狙っているのは、家族持ちのホットハッチ好き。実用的なクルマを考えている一方で、パフォーマンスも捨てられない人だ。そんな人なら、コナNがクロスオーバーよりi30 Nの方に近いことに、共感を持つはず。
ヒュンダイのN部門は、クロスオーバーの動的性能を引き上げる良い仕事をこなしたようだ。レスポンシブな操縦性のおかげで、コーナリングや流れの速い道での運転体験は好印象。ホットハッチのように。
ホイールベースが短めだから、回頭性も素早い。比較的高めの車高ながら、安定感も高いと感じた。
トレードオフは、最も柔らかいコンフォート・モードを選んでも、乗り心地が硬めなこと。我慢できないほどではないが、学校の送り迎えの足とするには気が引ける。
N部門の功績は高く評価できる
ドライブモードをスポーツに変えると、ステアリングやサスペンションがタイトさを増し、エンジンとESCのマッピングが積極的なものになり、排気音も威勢が良くなる。滑らかな郊外の道にはピッタリだと思う。
渾身のNモードでは、さらに反応が鋭くなる一方で、落ち着きもなくなる。ホットハッチのi30 Nと同様に、Nモードの使い所は狭い。ステアリングの応答性を高め、サスペンションをソフトにする個別の設定がベストかもしれない。
高性能クロスオーバーという発想を元に、ヒュンダイのNモデルらしいパフォーマンスを獲得することに成功した、コナN。クロスオーバーらしく実用性も残されている。その功績は、高く評価できるものだと思う。
純粋なホットハッチを求める人は、魅力を感じにくいだろう。しかし、コナNの価格帯を俯瞰してみると、競合といえる水準のクロスオーバーは殆ど存在しない。
クロスオーバーとホットハッチとを掛け合わせたことでの妥協を受け入れられれば、強く惹かれるモデルになると思う。数年後、カルト的な人気を集めるクラシックにもなり得そうだ。
ヒュンダイ・コナN(英国仕様)のスペック
英国価格:3万5395ポンド(530万円)
全長:4205mm(標準コナ)
全幅:1800mm(標準コナ)
全高:1565mm(標準コナ)
最高速度:239km/h
0-100km/h加速:5.5秒
燃費:11.8km/L
CO2排出量:194g/km
車両重量:1510kg
パワートレイン:直列4気筒1998ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:280ps/5500-6000rpm
最大トルク:39.8kg-m/2100-4700rpm
ギアボックス:8速デュアルクラッチ・オートマティック