【エンジンに残された希望】合成燃料 ベントレー、パイクスピークで1位獲得 走りに不足なし

公開 : 2021.08.30 18:45

CO2ゼロの未来の燃料

大型でパワフルなエンジンを製造する高級車メーカーにとって、CO2排出量ゼロの可能性を秘めた合成燃料は、世界がグリーン化していく中でブランドの品位を保つための手段となり得る。

既存のエンジンに無改造(燃料マップの更新を除く)で使用できるうえ、世界の主要市場には、ICEの販売禁止を発表していないところがたくさんある。

ベントレー・コンチネンタルGT3パイクスピーク
ベントレー・コンチネンタルGT3パイクスピーク

ポルシェは今年初め、モービル1スーパーカップのマシンに、エクソンモービルの98オクタンのエッソ・レーシング・フューエルを使用すると発表した。食品廃棄物から作られる合成バイオ燃料で、大気中のCO2と水素から作られる高度なeフューエルに移行することも視野に入れている。

また、エクソンモービルは、シンセティック・ゲノミクス社と共同で、藻類を原料とする合成燃料の開発を行っている。藻類は他の植物と同様、成長時にCO2を消費し、1エーカーあたりのバイオ燃料生産量はトウモロコシやサトウキビの5倍にもなる。2025年までに日量1万バレルの藻類バイオ燃料を生産する計画だ。

ところで合成燃料って何?

持続可能な液体燃料にはさまざまな種類があり、その用語は少し紛らわしい。植物由来のものもあれば、そうでないものもあるが、最終的には同じようなものになる。また、エンジンの変更が必要なものもあれば、(ベントレーが採用している燃料のように)直接ガソリンの代わりになるものもある。

エタノール(エチルアルコール)はガソリン添加剤として何年も前から使用されており、欧州では5%、最近は10%まで混合されたものが普及しつつある。米国では、約2100万台のフレックス燃料車が、エタノール含有率51%から83%のE85ガソリンを使用。42の州で約3500のスタンドが同燃料を販売している。

ベントレー・コンチネンタルGT3パイクスピーク
ベントレー・コンチネンタルGT3パイクスピーク

エタノール経由のETG法(Ethanol-to-Gasoline)やメタノール経由のMTG法(Mthanol-to-Gasoline)といった合成プロセスにより、既存のエンジンにそのまま使える「ドロップイン燃料」ができる。エクソンモービルとポルシェは、提携により最終的にはMTG法を使った合成ガソリンの生産を目指す。

ポルシェがチリのハルオニ工場で生産した水素と、大気中のCO2を回収してメタノールを生成し、使いやすい合成ドロップイン燃料とする予定だ。

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