【スーパーワゴン対決】前編 復権する究極の万能車 最新の3台 デザインもメカニズムもさまざま

公開 : 2021.09.04 11:05  更新 : 2021.09.14 05:02

ボディサイズの割に優れた取り回し

そうはいっても、実用性を競うならE63 Sがほかを凌ぐ。ライバル2台と同じく、乗車定員は5名だが、パナメーラのように後席の3人掛けも窮屈ではない。そのうえで、ほかを圧倒する容量640Lの荷室を、アップライト気味なリアエンドのおかげで獲得している。

さらに、完全なフルフラットになる可倒式後席を備えるのはE63 Sのみで、すべて倒せば荷室容量は1820Lに達する。床下に、バラバラになってしまうような荷物を入れておけるバスケットが、折り畳まれてスッキリ収められている。

ワゴンのキモともいうべきラゲッジルームの広さでは、640LのE63 Sが抜きん出ている。RS6は565L、パナメーラは418Lしかない。
ワゴンのキモともいうべきラゲッジルームの広さでは、640LのE63 Sが抜きん出ている。RS6は565L、パナメーラは418Lしかない。    Luc Lacey

期待したとおり、3台ともインテリアは高級そうなマテリアルと上質なデザイン、そして最新のガジェットやメカニズムを満載したリッチな仕立て。もっとも包まれ感が強いスポーツカー的なコクピットを持つのはポルシェで、逆に座面が高くアップライトに座らされるのはAMG。アウディは、とにかくタッチパネルに埋め尽くされている。いずれにしろ、どのクルマをとってもラグジュアリーさは遜色ない。

どれもハードなことこのうえないクルマに思えるが、日常使いのしやすさはアウディが一番だ。エアサスのクッションが効いた乗り心地はポルシェよりしなやかで、長距離走行時にもうんざりするようなロードノイズに悩まされることがない。

とはいうものの、パナメーラは市街地で注意して運転すれば、最大50km程度まで静粛性極まるEVモードで走行することが可能だ。ただし両車とも、四輪操舵を装備しているので、タイトな駐車場やラウンドアバウトで、その巨体が思いのほか小さく感じられるという点では共通する。

E63 Sも同じく扱いやすいが、こちらはほかよりわずかながらコンパクトなボディサイズの恩恵。柔軟性はライバルたちに及ばず、舗装の状況を腰のあたりに伝えてくる。それでも、先代よりはソフトになっているのだが。

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